1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480545
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
久木田 文夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40113427)
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Keywords | シュワン細胞 / 神経線維 / 神経インパルス |
Research Abstract |
シュワン細胞の機能を明らかにするため,本研究では生理的条件を保ち易いイカ巨大軸索とその周りのシュワン細胞とからなる標本を用いて実験を進めた。実験は昨年度の報告書に述べたのと同様な電気生理学的実験と光学的実験の二本立てで行った。 「電気生理学的実験」 実験方法は昨年度報告したように細胞内潅流したイカ巨大神経線維を用いた電気生理学的な方法で,1)シュワン細胞ー軸索の間隙にKイオンを軸索膜のKチャネルを通じて細胞内から注入し,2)軸索外表面のKイオン濃度を軸索膜Kチャネルの平衡電位EKを測定することにより求める。この方法の有効性が明確になったので,細胞外のKイオンや陰イオンを変化させてシュワン細胞ー軸索間隙でのKイオンの蓄積を測定した。シュワン細胞の働き(Kイオン濃度の制御機構)にはシュワン細胞外のKイオンや陰イオンが影響を与えることが明らかになった。シュワン細胞ー軸索間隙のKイオンの蓄積の状況により神経インパルスの発生パタ-ンが変化する。又,シュワン細胞の機能に対する麻酔剤アルコ-ルの作用を調べたが,神経線維に対する作用ほど顕著ではなかった。 「光学的実験」 倒立蛍光顕微鏡下で神経線維の細胞内潅流を行うため,実体顕微鏡とステ-ジ上に移動できるように,通常の透過照明部とステ-ジを新規に作成した。先ず,シュワン細胞の形態を調べるために,シュワン細胞に蛍光色素を注入すること試みた。シュワン飽胞は予想されたとおりの木の葉状の薄くて平べったい細胞であった。Kイオン濃度の制御に伴うシュワン細胞の形態的変化を調べるために,シュワン細胞の活動に伴う光散乱変化の検出を行う予定であったが,神経線維とシュワン細胞の膜電位の光学的測定と併せて測定する予定で現在実験が進行中である。
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