1991 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換えによる病原性大腸菌線毛ワクチンに有効な付着因子の分離・生産
Project/Area Number |
01480547
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Research Institution | National Institute of Health |
Principal Investigator |
内貴 正治 国立予防衛生研究所, 獣疫部, 部長 (10020752)
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Keywords | 大腸菌 / 下痢症 / 線毛 / 線毛ワクチン / GM3 / アドヘシン / ガングリオシド / Nーグリコリルノイラミン酸 |
Research Abstract |
K99線毛を保有する大腸菌は仔ブタおよび仔ウシの小腸に付着し、外毒素により下痢症を惹起する。線毛は小腸上皮細胞を認識して、付着するアドヘシンおよびその他7つのタンパク成分より構築されるが、アドヘシンは極めてマイナ-な成分であり、この成分をワクチンとして用いるには遺伝子組換えによる多量生産が必要である。また何故大腸菌症が新生獣にのみ起るかを説明するために小腸におけるレセプタ-分子の生後日令による変化について検討した。 1)アドヘシン遺伝子の検索 線毛をコ-ドする8つの遺伝子のうち、塩基配列のわかっていないfanEとfanF遺伝子について、塩基配列を決定し、各々の遺伝子の欠損ミュ-タントを作出した。その結果、fanFが他の線毛アドヘシン遺伝子と相同性を示し、fanF産物がアドヘシンと推定された。しかし、fanF産物のみではアドヘシン活性を示すのに不充分で、これにfanE産物を加えたとき活性が発現することが明らかになった。 2)アドヘシンが認識するレセプタ-構造 仔ブタ小腸ガングリオシドはNeuGcα2ー3Galβ1ー4GlcーCer[GM_3(NeuGc)]が主要な成分であり、これに^<125>I標識大腸菌が結合したHPLCを用い、セラミドの構造の相違により、5種のガングリオシドGMB(NeuGc)を分離し、各々の結合を見たところ、セラミド部分の脂肪酸が2ーヒ-ドロオキシC16脂肪酸およびファイトスフィンゴシンを有するものが最もよく大腸菌と結合することがわかった。この成分の日令による減少は著しく、一週令で50%、二週令で30%、成豚で2%に減少した。このレセプタ-分子の減少が感染抵抗性の上昇と関係するものと思われる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ono,E.,Abe,K.,Nakazawa,M.,and Naiki,M.: "Ganglioside epitope recognized by K99 fimbriae from enterotoxigenic Escherichia coli." Infection and Immunity. 57. 907-911 (1989)
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[Publications] 小野 恵利子,内貴 正治: "遺伝子組換えによる病原性大腸菌線毛ミュ-タント株の作出" 家畜生化学研究会報. 23. 65-73 (1989)
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[Publications] Orino,K.,and Naiki,M.: "Two kinds of P-fimbrial variants of uropathogenic Escherichia coli recognizing Forssman glycosphingolipid." Microbiology and Immunology. 34. 607-615 (1990)
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[Publications] 小野 恵利子,阿部 健司,M.F.Lavin,内貴 正治: "毒素原生大腸菌K99線毛アドヘシンの検索" 家畜生化学研究会報. 26. 1-11 (1991)
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[Publications] Ono,E.,Lavin,M.F.,and Naiki,M.: "The nucleotide sequence of the genes,fanE and fanF of Escherichia coli K99 fimbriae." Japanese Jounal of Veterinary Research. 39. 1-10 (1991)
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[Publications] Yoshimatsu,K.,Yuyama,Y.,Ono,E.,Syuto,B.,and Naiki,M.: "New methods for isolation of K99 fimbriae from enterotoxigenic Escherichia coli." The Journal of Veterinary Medical Sience. 53. 1119-1121 (1991)
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[Publications] 内貴 正治(永井,牧田,背山編): "新生化学実験講座 4巻,糖脂質の受容体機能とその応用;細菌とその毒素。" 化学同人, 453-460 (1990)
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[Publications] 内貴 正治: "細菌やウイルスが見分ける細胞の顔" 現代化学、248巻, 38-42 (1991)