1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01490007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長野 晃三 東京大学, 薬学部, 助教授 (30012636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板井 昭子 東京大学, 薬学部, 助手 (60012647)
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Keywords | B型肝炎ウィルス / 表面抗原 / ユア抗原 / アミノ酸配列 / 三次元構造予測 / 2分子会合体 / 小型球形粒子 / Dane粒子 |
Research Abstract |
B型肝炎は東南アジア、アフリカなどに見られる重要な疾患で、ウィルスが関与していることが知られており、慢性感染者は世界全体で約2億2千万人にのぼり、その何割かは年を経て肝癌になるとされている。この疾病の予防の目的でワクチンの開発が進められているが、そのためにはこのウィルスの表面抗原HBsAgの三次元構造を知ることが必要である。アミノ酸配列は既に知られており、226残基から成るS-HBsAgが肝細胞膜の中からジパルミチルフオスファチジルユリンを選択的に抱合して多数のSS結合により強固な2分子会合体を形成し、これが直径22nmのT=1に相当する正二十面体の小型球形粒子を形成することが、実験的に知られている。しかしながらX線結晶解析は誰も試みておらず、殆んど成功の望もないので、三次元構造予測の方法を開発してベルリンの第7回国際蛋白質配列解析学会で発表した。次いで感染性のDane粒子は3200塩基対のDNAとDNAポリメラ-ゼの複合体がユア抗原HBcAgによって覆われており、その表面を上記のS-HBsAgと、それよりも分子量の大きいM-HBsAgとL-HBsAgが多分2;1;1の割合で42nmの直径の粒子を形成している。電子顕微鏡による観察によればユア粒子はT=3の正二十面体対象性を有することが知られている。更にウッドチャックのHBcAgがライノウィルスの表面蛋白質と相同姓が高いことが見出されたので、蛋白質デ-タバンクからライノウィルスの表面蛋白質の原子座標を取出してHBcAgのモデルを組立てた。ライノウィルスと異なり、保存されたシスティン残基の存在と鵞鳥のHBcAgとの比較により、HBsAgに見られたのと同様SS結合による2分子会合体が形成されている。C端側のプロタミン類似部分はHGS分子模型を用いて組立て、原子座標を測定した。その結果を神戸で開かれた第2回国際蛋白工学会で発表した。今後ス-パ-コンピュ-タを用いて原子座標を改善することを計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.NAGANO: "Predicted quaternary structure of hepatitis B Dane particle" Protein Engineering 2nd International Conference Kobe,Angust 20-25,1989. 121-121 (1989)
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[Publications] K.NAGANO: "Prediction of Three-dimensional Model of Escherichia coli Ribosomal RNA" J.Theor.Biol.134. 199-256 (1988)
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[Publications] A.ITAI: "A Receptor Model for Tumor Promoters,Rational Superposition of Teleocidins and Phorbol Esters" Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85. 3688-3692 (1988)
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[Publications] 長野晃三: "蛋白質の予測高次構造の立体的表示法" 病態生理. 6(10). 786-794 (1987)
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[Publications] K.NAGANO: "Prediction of Protein Structure and the Principles of Protein Conformation" PLENUM Publishing Corporation, 82 (1989)
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[Publications] K.NAGANO: "Methods in Protein Sequence Analysis" Springer-Verlag, 4 (1989)