1989 Fiscal Year Annual Research Report
プラトンの機械可読テキストを使ったコンピュ-タによる文体研究のためのシステム開発
Project/Area Number |
01510008
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
沖田 真理 東京女子大学, 文理学部, 助手 (90119868)
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Keywords | プラトン / 機械可読テキスト / ギリシャ語文献 / 文体研究 / 年代決定 / OCP(Micro-OCP) / 母音重複(ヒアトス) / デ-タベ-ス |
Research Abstract |
本研究の目的はプラトンの機械可読テキストをパソコン・ベ-スに落とし、それを使って文体研究を行うことにある。同時に又、研究の環境作りの為の基本システムの開発や解析プログラム等の構築も目指している。 平成1年度は出力システムの開発と基本デ-タの作成を中心に以下の順で作業をおこなった。 1.大型計算機用の磁気テ-プに入っているプラトンの機械可読テキストをパソコンダウン・ロ-ドした。更にロ-ドされたテキストを検索可能な形に整備した。 2.ギリシャ語打ち出しに必要なフォントの作成と、出力に必要な文字変換プログラムの作成した。 3.ロ-ドされたテキストから文体研究に有効な指標を捜すため、言語処理プログラムのMicro-OCP(Oxford Concordance Programのパソコン版)を使ってインデックス、コンコルダンス等を試験的に作成した。 プラトンは後期に母音重複(ヒアスト)を避ける傾向があり、これが文体研究の内でも作品の年代決定に有益であることは、既に多くの研究者によって立証されている。しかしこれまでは余りに、量が多いこと、更にその組合せが多様な為に、この観点から文体の検討はなされていなかった。しかし今回、コンピュ-タを利用することにより、新たにこの方面からの解析が可能であるとの見通しを得た。そのため今後は、語彙のレベルの文体指標の成果と合わせて、ヒアトスの集計・分析も行い、プラトン研究のみならず、ギリシャ語文献全体の文献に応用可能な汎用性のあるデ-タベ-スの構築も行ないたい。 なお、ギリシャ語のエディタ-の開発を目指す英国マンチェスタ-大学古典学科のG、ニ-ル教授より貴重な情報や助言を得、その成果を「情報語学文学研究会」の会報に報告した。又日本の機械可読テキストの開発についての報告が、"Journal of Association for Literary & Linguistic Computing"に、文体研究及び解析用ソフトについて調査報告が、"The Humanities Computing Yearbook 1989"のそれぞれに掲載された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mari Nagase: "Literary & Linguiatic Computing in Japan" Journal of the Association for Literay & Linguistic Computing. 4. 52-55 (1989)
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[Publications] 長瀬真理: "英国におけるデ-タベ-ス" 情報処理語学文学研究会会報. 5. 17-33 (1989)
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[Publications] 長瀬真理: "ギリシャ語テキスト・デ-タベ-ス構築における諸問題の考察" 慶應義塾大学言語文化研究所紀要. 23. (1991)
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[Publications] 長瀬真理: "テキスト・デ-タベ-スの作成・利用ツ-ルについて" 情報処理学会研究報告. 91. (1991)
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[Publications] 長瀬真理: "ギリシャ語KWIC作成システムの開発と高次利用" 情報知識学会学会誌. 3. (1992)
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[Publications] Ian Lancashire and Willard McCarty: "The Humanities Computing Yearboox 1989" Clarendon Press,Oxford, 400 (1990)