1989 Fiscal Year Annual Research Report
重度障害児の長期入所が家族システムに及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
01510053
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮田 敬一 新潟大学, 教育学部, 助教授 (60115079)
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Keywords | 重度障害児 / 長期入院 / 家族システム / 家族の発達段階 |
Research Abstract |
本研究は、長期入院の重度障害児・者の病棟内での適応と、その家族に発生した家族問題を明らかにし、相互の関連性を検討する。調査対象は118人(男72人、女46人)の重症心身障害児病棟に入院中の患者とその家族である。家族調査表が作成され、3人の児童指導員により、患者の特性及びその家族内に発生した問題が評定された。77家族については個別面接も実施された。その結果、34家族(29%)に家庭不和、離婚、精神的疾患などの深刻な問題(SP)が発生していた。このSP家族の患者の入院年齢を見ると、その50%(17ケ-ス)は6歳までの幼児期入院であり、10歳までの入院ではSP家族の71%にも及んだ。またSP発生の時期が特定された30家族中、SPの53%は患者が入院後の3年間に発生し、最初の1年間では27%のSP発生率であった。次に、SP家族とSPの発生していない(NP)家族の面会状況を比較すると、SP家族群の平均面会時間は約26分少なく、面会時間の分散も大きい。最近1年間の面会頻度では、SP、NP両家族とも約7割が月1度面会しているが、月2回以上の面会はNP家族の30%に対し、SP家族は12%と少ない。また家族の面会時に、興奮、声を発するなどの積極的な行動反応を示す人は、NP家族の患者の65%に対し、SP家族の患者は30%と少ない。さらに、入院中の患者の75%に問題行動が見られるが、SP家族の患者に特徴的な行動は指吸い、指噛みで32%の人に見られ、NP家族の患者の17%より高率である。これらの結果を考察すると、子どもの入院年齢や入院後の年数と家族のSP発生とは関連性があり、子どもと家族は離れていても、家族システムとして連動していることが示された。そして、SP家族では、子どもと家族との相互作用は貧弱であり、家族の発達段階だけでなく、家族構造の要因も家族サポ-トの指針となりうることが示唆された。
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