1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸野 俊一 九州大学, 教育学部, 助教授 (30101009)
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Keywords | 社会的相互交渉 / 認知的葛藤 / 創造的思考 / メタ認知的知識 / 視点の切換え / 認知論的アプロ-チ |
Research Abstract |
本研究の目的は、認知的葛藤を引き起こすような社会的相互交渉による問題解決状況を設定し、そこでの各自の感情、信念、パ-ソナリティ-論理的諸側面への認知論的アプロ-チを試みる中で、状況判断や注意集中および自己統制能力の欠如に関する要因を同定し、問題の発見ー治療ー訓練ー再教育という有機的連関のもとに、創造的人間の育成ないしは創造的思考の開発モデルを構築し、それに基づき、教育体制への一つの提案を行うことである。そのために、本年度は、まず第一に、社会的相互交渉や集団討議場面での視点の切換えや矛盾葛藤を訓練、体験させる中で、創造的・独創造な思考の深まり、高まりに関与する要因を分析、同定すると同時に、相互交渉やディスカッションの展開位相を導入、展開結末といった3位相に分けた時に、各位相ではどのような認知的技能が特に重要であるかの特定化を計った。その結果、導入では、(1)自分の意見の確立、(2)相手の意見の確認や取り入れ、(3)問題の明確化;展開では、(1)場の活性化、(2)矛盾の克服、(3)視点の切換え、結末では、(1)双方の意見の一致化、(2)情報間の精緻化といった認知的因子が抽出された。 第二に、各被験者の各位相に対するメタ認知的知識を診断、分析すると同時に、メタ認知的知識の水準の差異によって問題状況への関係の取り方(関係スタイル)が異なるか、場の発展や展開の仕方がどのように異なるか、さらには視点切換えの柔軟性とどんな関係にあるかを探った。その結果、メタ認知的知識水準と“場の活性化や視点切換えの柔軟性"との間には正の相関があることがわかった。
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Research Products
(2 results)