1989 Fiscal Year Annual Research Report
旋律認知の基礎となる音の高さの動的知覚のメカニズム
Project/Area Number |
01510069
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
寺西 立年 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50038981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 祥好 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助手 (90127267)
津村 尚志 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (20038962)
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Keywords | 動的な音の高さ / 運動知覚 / メロディ知覚 / シェパ-ドの錯覚 |
Research Abstract |
横軸に対数周波数、縦軸に音圧レベルをとった座標上で、台形のスペクトル包絡をもつ複合音のセットを構成し、Burns(1981)の示したような音の高さの循環性について検討した。スペクトル包絡を固定したまま、1400セントの周期をもったスペクトルを70セントずつ高いほうにずらせることによって、1つのセットについて20の複合音を得る。ここで音が作られる順に、1〜20の番号をつける。この際、スペクトル成分が1400セントごとに置かれてスペクトル周期を形成し、各周期はさらに、420:980〜630:770の比率にもう一つの成分によって分割される。この比率を変えることによって、6種類のセットを得た。各セットについて、20個の複合音全てを用いて、音の高さの一対比較を被験者に求めた。一部の条件ではまだ結果が出揃っていないが、これまでの結果によれば、スペクトルの各周期が420:980に分割されているセットでは、被験社は1400セントの厳密な意味での周期性に反応し、一対比較の結果を多次元尺度構成法(2次元)によって分析すると複合音が円形に近い布置となり、複合音を番号順に辿ると1回転する。各周期が630:770に分割されているセットでは、被験者は700セントの概周期に反応し、同様の分析でやはり円形に近い布置が得られるが、複合音を番号順に辿ると2回転する。これらの結果から、Shepard(1964)の示したような音の高さの循環性は、非オクタ-ブ(すなわち1400セントあるいは700セント)の周期についても生ずること、また、周期性が必ずしも厳密でなくても生ずることが確認された。他のセットにおいては、この二つの例と殆ど同じ反応、あるいは、その中間に位置づけられるような反応が生じた。この実験と関連させて、多次元尺度構成の結果を、実際に音で聴きながら理解させるようなデモンストレ-ションを、数多く作成し、音の上昇感・下降感の生ずる仕組みを考察した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Nakajima,H.Minami,T.Tsumura,H.Kunisaki,S.Ohnishi,R.Teranishi: "Dynamic pitch perception for complex tones of periodical spectral patterns" Music Perception.