1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510070
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉田 甫 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (80094085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衛藤 俊士 宮崎大学, 教育学部, 教諭
栗山 和広 宮崎女子短期大学, 助教授 (10170094)
宇田 廣文 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (50040994)
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Keywords | 誤り方略 / 知識構造 / 分数概念 / 知識の表象 |
Research Abstract |
本年度は、児童が分数を学習する2年目に当たる。本年度の第1の目的は、昨年はじめて分数を学習し、約1年間分数に接していない時期があったが、その間に児童の分数への理解がどのように変化したかを検討することである。第2の目的は、4年生でおよそ3週間にわたって分数の単元を学習することにより、分数の理解にどのような変化が生じるかを調べることである。 このために、分数を学習する以前の9月に事前テストを実施した。ここに含められた内容は、分数の大小関係、全体としての1の概念、部分ー全体関係、および計算などである。これらの概念について一斉テストを実施し、それらの分析結果を担任教師にフィ-ドバックした。また、この分析結果に基づいて単元の指導をどのように構成するかを討論して、本学年では特に「等しい分数」に重点をおいた指導を展開することにした。また、特徴的な誤り方略を示した児童およそ40名を個別に面接調査した。その後、担任による単元の指導が行われ、指導の終了およそ1週間後に事後テストが実施された。 その結果、以下のような結果が得られた。(1)3年で分数を学習した後に正しく分数の大きさを学習していたのは、およそ60%いたのだが、分数に接していない間に、そうした正答群はわずか26%に減少した。代わって、分母が大きくなれば分数の大きさも大きくなるというル-ルLを持つものが45%にも上った。(2)分数単元の終了後には、異分母・同分子や同分母・異分子のタイプの問題には60%もの正答群がみられた。ところが、異分母・異分子のタイプの問題にはわずか31%の正答群しかおらず、分子(分母)が大きくなれば分数の大きさは小さくなるというル-ルSを持つものが37%にも上ったのである。 こうした結果は、児童の分数という知識の習得過程という点からはきわめて興味ある結果であり、整数概念から端数概念がどのように統合されるかに関する過程を示唆するものであった。
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