1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510093
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences |
Principal Investigator |
宮下 彰夫 東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主任研究員 (70100146)
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Keywords | ヒトの睡眠 / レム睡眠 / 中途覚醒法 / 入眠時レム睡眠 / 体温リズム / 入眠時幻覚 / 睡眠麻痺 / Modified reset仮説 |
Research Abstract |
ヒトのレム睡眼リズムについて、睡眼非依存説(Sleepーindependent仮説)、睡眼依存説(Sleepーdependent仮説)、リセット仮説とが対立している。しかし、夜間睡眼中に中途覚醒させる筆著の独自な方法によって、これらの仮説ではレム睡氓リズムを説明できないことが明らかとなった。そこで、筆者はModified Reset仮説を提唱した。つまり、レム睡眠リズムは、覚醒によって一旦リセットされ再入眠後に新たにスタ-トする。再入眠後のレム睡眠リズムは、通常のレム潜時をとる場合と、入眠直後にレム睡眠が出現する場合とに二分されるというものである。後者は入眠時レム睡眠期(SOREMP)といわれ、ナルコレプシ-に特有なものとされてきたが、健常者でも、中途覚醒法によって容易にSOREMPが出現した。本研究の目的は、中途覚醒法でSOREMPを出現させ、その出現率がどんな要因によって変化するか検討し、レム睡眠リズムの発現機序を明らかにすることであった。平成1年度は睡眠周期内のどの時点で覚醒させるかを4条件設定した。第2周期で、覚醒までのノンレム睡眠の持続時間が長くなるにしたがい、再入眠後のSOREMPの出現率は有意に増加した。平成2年度は、SOREMPの出現率に影響する要因として、サ-カディアンリズムの位相を取り上げた。その結果、SOREMP出現率は第2周期(深夜)より第4周期(明け方)の方が有意に高く、サ-カディアンリズムがSOREMP出現率にも影響することを示した。平成3年度は、SOREMP出現時の生理的背景として直腸温の検討、および、SOREMP出現時の主観的体験を検討した。まず、SOREMP出現時の直腸温は、非出現時より低い傾向があり、生理的背景の違いが示唆された。つぎに、SOREMP出現特の主観的体験を聴取したところ、夢見の体験のほかに、入眠時幻覚や睡眠麻痺を体験した報告があった。このことは、健常者でもSOREMP出現時には、ナルコレプシ-の症状と同じ現象が現われ得ることを示している。
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[Publications] 宮下 彰夫: "Appearance rate of sleep Onset REM period and preーawakening NREM duration" Sleep.Res.18. 141 (1989)
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[Publications] 宮下 彰夫: "人間の生活と睡眠" 精神科看護. 35. 2-7 (1991)
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[Publications] 福田 一彦: "若年健康者にみられる金縛り現象" 臨床脳波. 34. 1-4 (1992)
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[Publications] 宮下 彰夫: "Pattern,trough,and amplitude of rectal temperature during sleep in healthy subjects" Jap.J,Psychiat.Neurol.45. 149 (1991)
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[Publications] 竹内 朋香: "Sleep habit and its evaluation in normal population With isolated sleep paralysis." Jap.J.Psychiat.Neurol.45. 945 (1991)
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[Publications] 佐々木 由香: "The timing of nocturnal sleep interruption and pattern change of rectal temperature." Jap.J.Psychiat.Neurol.45. 949 (1991)
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[Publications] 宮下 彰夫: "眼りと夢と脳.In堀 忠雄・斉藤 勇(編)脳と心のトピックス" 誠信書房, 21 (1989)
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[Publications] 宮下 彰夫: "自津神経のリズムIn千葉 喜彦・高橋 清久(編)時間生物学ハンドブック" 朝倉書店, 9 (1991)