1989 Fiscal Year Annual Research Report
思春期心性に起因する不登校生徒に関わる地域の人的資源の組織化に関する基礎的研究
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01510135
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
菊池 龍三郎 茨城大学, 教育学部, 教授 (80007757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 清 岩手大学, 教育学部, 助教授 (40168878)
安達 喜美子 茨城大学, 教育学部, 助教授 (50007837)
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Keywords | 登校拒否生徒 / 不登校生徒 / 地域の人的資源 / 思春期 / 意味ある他者 / 実質的価値的意味-人物 / 手段的媒介的意味-人物 |
Research Abstract |
本年度は以下の3点について研究成果を得た。 (1)登校拒否・不登校生徒に関して資料の収集と分析を行った。他大学、機関の研究者との情報交換の結果、特に登校拒否・不登校に至るプロセスの分析が必要であるとの認識から、茨城県内の小・中学校(とくに中学校)のうちから120校を抽出して、その中で年間50日以上休んでいる生徒の全部について、半年前に遡って欠席・遅刻・早退の増加のプロセスを分析した。現段階では登校拒否・不登校に至るプロセスは、大体4〜5つのタイプに分けられること、それが学校活動の年間の流れと一定の相関があることがほぼ明らかになった。さらにそれを教師の指導の態様、教科、友達関係、地域の状態、親子関係、生徒の健康状態等の要因と関わらせて分析することを現在試みつつある。 (2)特にわれわれの主たる関心事は、地域風土特性及び家庭環境(家庭の生活スタイル、親子関係等)特性との関連を探るための分析具であるMIPT(「意味-人物対応調査票」)の開発・適用・修正を試みることである。この開発に関して、他大学・機関の研究者との情報交換の結果有意義な知見を得ることができた。それに基づいて現在MIPTの開発を行っているが、従来われわれが作成したMIPTでは、登校拒否・不登校生徒と社会が含むさまざまの人的資源とをつなぐ「つなぎの人物」の存在が不可欠であるということ、例えば隣り近所の大人・同じ隣り近所のさまざまの趣味的活動グル-プの大人・メディアの登場人物等が考えられることが明らかになった。 (3)すなわち(2)との関連でMIPTが含む「実質的・価値的意味-人物」と「手段的・媒介的意味-人物」のうち、登校拒否・不登校生徒を社会的ネットワ-クの中に導くには、後者の意味での「つなぎの人物」が有効であることが明らかになってきている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 菊地龍三郎,安達喜美子: "思春期心性に起因する不登校生徒への関わりの社会的組織化の方略について" 茨城大学教育学部紀要. 40. 1-10 (1990)
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[Publications] 安達喜美子,菊地龍三郎: "不登校生徒の社会関係の回復の可能性と方向" 犯罪と非行(財団法人矯正福祉会). NO85. 1-10 (1991)