Research Abstract |
本研究は,先に科学研究費(出版助成)を受けて刊行した『日本工業教育成立史の研究』(風間書房)の続編として,第2次大戦後の技術革新の時期に至るまでの,日本における工業教育発達史について,中央の政策と地域の実態を絡み合わせながら,中央の政策がどのようにして地域に定着していくかを実証的に解明してきた。そのため次の3つの視座から3種の資料を収集することに努力した。 (1)日本の工業教育の発達過程を,政策,制度,思想,実態など多角的に分析し,その全体構造を把握するーそのため東京に3回出張し,主として国立公文書館,国会図書館,東京大学総合図書館などにおいて文献資料の調査を行い,必要箇所の複写を依頼した。 (2)日本の代表的な工業教育(東京4校,京都2校,熊本2校)を特に事例的に取り上げ,卒業生の活動状況に関する追跡調査をなすとともに,特に戦後教育改革の状況や拡充過程に物する資料を収集したーこのため東京に3回(上記(1)の目的とも重複して作業を進めた),京都市と熊本市に各1回出張し,東京大学工学部,東京工業大学,東京都立大学,工学院大学,京都大学工学部,京都工芸繊維大学,熊本大学,熊本工業高等学校について関係資料を調査し,文献資料を複写した。 (3)日本における成立期の工業教育は,イギリスからモデルを受容したという事情にかんがみ,その後における交渉関係を明らかにするとともに,両国に生じた差異を明らかにしたーこのため特にグラスゴ-のUniversty Strathclydeとロンドンのgmperial College of Science and Technologyのア-カイブスに対し文書で資料の照合をした。 以上のようにして収集した資料を整理するため,大学院生2名に依頼して作業を行なうとともに,目下,『日本工業教育発達史の研究』の出版のための原稿執筆の作業に没頭している。近く完成の予定である。
|