1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510209
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
上野 秀治 皇学館大学, 文学部, 助教授 (70072428)
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Keywords | 香川敬三 / 香川敬三関係文書 / 皇后宮大夫 / 明治天皇 / 昭憲皇太后 / 明治宮廷の絶対化 |
Research Abstract |
皇学館大学史料編纂所で借用中の香川敬三関係文書約25,000点の整理と内容分析の作業にはいり、約3,000点の史料をカ-ドで検索できるようにしたが、まだ全体の12%程しかカ-ド化できていないので、今後作業を急ぐ予定である。これと並行し、研究成果を得るために、宮内省の役人の書簡もあわせて解読したが、中でも香川と親友である侍従職幹事(のちの侍従次長)や宮内大臣を勤めた岩倉具定の来簡は興味深いものが多い。数量的にも300通程あって、内容も友人だけに宮内省内や政府からの情報を逐次香川に伝えるとともに、自分の意見や感想もかなり加えている点で貴重である。この分析を進めることによって我が国における皇室の役割がある程度理解できるものと思われる。さらに宮中には当然のことながら、政府や軍の情報が正確に伝えられてきていることも知りえた。 ところで香川敬三に関する史料は上記史料以外にも存在するので、これらも採訪した。宮内庁書陵部には「香川家文書」があり、32通の香川宛の書簡を写している。これは『明治天皇紀』編纂のために蒐集されたものと思われるが、原本が借用中の関係文書には含まれていないので貴重である。さらに東京大学史料編纂所には「香川敬三事蹟」「香川敬三私記」があり、これも写本ではあるが、敬三の幕末から明治7年までの履歴や往復書簡が含まれている。維新前後の史料が極めて少ないので、これも重要史料といえる。いずれも写真撮影をした。 今年度は文書整理と史料蒐集に力を入れ、一部史料の分析を行なったが、香川敬三の履歴的な事実はほぼ把握することができ、さらに岩倉具定よりの書簡の持つ重要性を確認した。
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Research Products
(2 results)