1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510209
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
上野 秀治 皇学館大学, 文学部, 助教授 (70072428)
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Keywords | 香川敬三 / 香川敬三関係文書 / 皇后宮大夫 / 明治天皇 / 昭憲皇太后 / 岩倉具視 / 明治宮廷の絶対化 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,皇学館大学史料編纂所で借用中の香川敬三関係文書24,837点の整理と内容分析の作業をし,約3,000点の史料をカ-ドで検索できるようにしたが,昨年度とあわせ全体の24%程しかカ-ド化できていない。しかし今年度は宮内省官吏の主な人物の書簡を中心にカ-ド化したため,天皇をどのように政府が位置づけようとしていたか,また宮内省の方針といったものが明らかになりつつある。その成果として,明治ひとけた代は史料がなく不明であるが,10年代は明治天皇が成人して政治にも意欲をみせ,万機親裁しようとするのに対し,政府は立憲君主化を目差し,両者が対立する時期と従来位置づけられているところ,香川家文書からもそれが裏づけられた。憲法発布後は,天皇および皇后は君主としていかにあるべきか,という模索が絶えずなされていることを窺う史料も見つかっている。 香川敬三の出世の大きな役割を果したと思われる岩倉具視の書簡181通を写した史料を発見したのでこれを翻刻して紹介した。また香川の宮中内での立場を考える上で重要な事実が見い出せた。それは徳大寺実則の書簡から,明治18年3月に香川が参事員議官を兼任する人事が進められていたことが明らかとなった。しかしこの人事は発令されずに終わるが、香川の立場を考える上で重要と考える。さらに国立公文書館内閣文庫の岩倉具視関係文書,法政大学蔵田中光顕関係文書,聖心女子大学蔵長崎省吾関係文書,香川の生家である茨城県の蓮田家文書,京都の岩倉公旧蹟保存会所蔵文書等を調査した。内閣文庫,田中・長崎の関係文書にはあまり見るべき史料がなく,蓮田家文書は金銭的な援助等にかかわる書簡が多かった。旧蹟保存会文書については,維新前後の香川と岩倉との関係を示す史料が存在し、分析を進めている。
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Research Products
(2 results)