1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510234
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
林 邦夫 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (50128451)
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Keywords | 中世都市 / セビ-リャ / アンダルシ-ア / 再植民(レポブラシオン) |
Research Abstract |
本年度は、13世紀の中世都市セビ-リャの全体像を把握することを目的として、以下の研究を行なった。 1.セビ-リャ市史展開の舞台となる地理的範囲を画定するため、これを、(1)市域と(2)周域とに分け、(1)を更に囲壁内区域(小教区に分割される)と郊外区とに分けて概観し、(2)については1253年の2点の文書によって形成された周域を地図上に示し、その後の周域の変容について、これを外縁部(如何なる地域と隣接し、それが如何に変化していったか)と内部(王領たる周域内部に、セビ-リャ司教座聖堂、騎士団、俗人を領主とする領主領が如何に形成されていったか)とに分けて、1284年の時点までに限って明らかにした。これらについては事実の列挙に尽きると予想されたが、実際には個々の事実に関して解明すべき点が残されていることが確認された。 2.13世紀セビ-リャ市史の重要問題である再植民(レポブラシオン)について、これに関する史料を列挙し、これに基づいて再植民人口を、まず(1)キリスト教徒について、市と周域とに分けて検討し、次いで、(2)ムデハル(キリスト教徒支配下のイスラム教徒)と(3)ユダヤ人についても同様な区分で従来の諸研究を踏まえて検討を加えた。この結果、13世紀の再植民については、これが必ずしも順調に進展しなかったという事実(再植民の危機)のあったことが認められ、この原因として従来から指摘されてきた点について検討を加えた結果、農村部に多く残留したムデハルを1262-64年の反乱の後に追放してしまったことが、人口の減少と秀れた農民の喪失といった結果をもたらし、これにその他の原因(経済危機、外敵による却掠、内戦)が次々と加わって再植民の危機を招いたのではないかという我々なりの仮説を組立てるに至った。
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Research Products
(1 results)