1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安斎 正人 東京大学, 文学部, 助手 (60114360)
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Keywords | 早坂平遺跡 / 製作址 / 大型石刃 / 接合資料 / 石刃石核 / 槍先形尖頭器 / 頁岩 / 石材産出地 |
Research Abstract |
昭和53年の道路改修工事の際、山形村在住の長内三蔵氏が大型石刃類を採集していた早坂平遺跡を平成元年8月27日から9月5日にわたって発掘調査した。遺跡は久慈川上流、川井川と遠別川の合流点に向かって延びる河岸段丘上に位置する。黒色表土層下に6層のロ-ム層が確認された。N層が大型石刃石器群、III層が尖頭器の包含層で、表土から縄文時代前期前半の土器が出ており、V層とII層に降下火山灰の可能性もみられるので、東北地方北半の太平洋側の基準編年となりえよう。 大型石刃石器群は約300点からなり、掻器1点、彫器2点、石槌1点の他は石核の整形・調整と石刃剥離に際して生じた剥片が多く、当遺跡は遠別川対岸100メ-トルの地点で見つかった頁岩露頭から石材を運んできて、石器素材の石刃を生産した製作址と考えられる。石核から想定できる剥離技術は極めて特異で、奥羽山系の石刃石器群にみられる石刃技法とは地域差を示している。尖頭器は採集資料1点、発掘資料6点の計6点と尖頭器を製作する際に生じるポイント・フレイクが数点出土した。尖頭は全長が10センチ前後の木葉形を呈するものが多く、縄文時代直前のものと考えられる。 以上のように石器は道路で削平された部分にブロックの半分を有する大型石刃の一群と、それよりやや上層の南側に分布する尖頭器(石槍)の一群の二群が確認された。石刃石器群は地理的分布からみて北海道渡島半島と東北奥羽出脈以西の大型石刃石器群と何らかの関係を有するものと考えられるが、在地産の頁岩を使っていることや石刃の剥離技術等に地域的特色がみられ、その性質の同定は現在進めている整理作業の結果を待って、報告書のなかで行う予定である。
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Research Products
(1 results)