1989 Fiscal Year Annual Research Report
スキ-マ理論による英語学習者のコミュニケ-ションに関する実証的研究とその応用
Project/Area Number |
01510279
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
天満 美智子 津田塾大学, 学芸学部・英文学科, 教授 (20055271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田近 裕子 津田塾大学, 学芸学部・英文学科, 専任講師 (80188268)
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Keywords | スキ-マ理論 / 読解過程 / 聴き取り過程 |
Research Abstract |
本年度は以下の書籍などを購入し、スキ-マ理論およびそのreading comprehensionとの関係について新しい知識を得た。Understanding Reading Comprehension.J.Flood./Promoting Reading Comprehension.J.Flood.(Ed.)/Reading and Understanding.R.C.Schank./Understanding Reading.F.Smith./Interactive Approaches to Second Language Reading.P.Carrell et al.(Eds.)など。すなわち、reading comprehensionにおいては、bottom-upとtop-downの両方向の読解作業が適切に作用しあうことによって内容理解がなされるのである。従来はbottmーup作用にのみ注目した読解指導がなされていたが、最近は心理言語学などの発達により、top-down作用の重要性が特に注目されるようになった。特にアメリカ合衆国のESLの分野では、教材や実際の授業指導でこの新しい考えが多く実用に供されている。ただし、ごく最近の研究果では、bottom-upとtop-downの両方向の適切なバランスが特に強調され始めている。その点では、スキ-マ理論による読みのモデルが外国語学習における読みの過程を最も適切に説明できると言えるであろう。 このような知見をもとに、reading comprehensionの過程で日本人英語学習者がどのようなスキ-マを活用させるか、あるいは正しく英文を読むことができない場合は、スキ-マを用いる上でどのような問題点があるのかを明かにするため、高校生と大学生(650名)を対象に読みの実験を行った。この結果、被験者全体の傾向としてreading passageの理解に必要なスキ-マではなく、身近な、例えば自分自身の環境に基づいたスキ-マを用いて読んでしまうケ-スが多いことがわかった。現在は、この実験をlistening comprehensionに応用している段遅である。来年度はさらにwriting,speakingに応用し、日本人英語学習者のもツスキ-マを探っていく予定である。
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