1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510300
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Research Institution | The National Language Research Institute (NLRI) |
Principal Investigator |
中道 真木男 国立国語研究所日本語教育センター, 日本語教育教材開発室, 室長 (70150034)
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Keywords | 意味記述 / メタ言語 / 学習基本語彙 / 形容詞 |
Research Abstract |
本研究において行なった作業および得られた主な知見は以下のようなものである. 1.既存辞書における意味記述用語の調査:調査対象を形容詞に限定し,そのうち『分類語彙表(国立国語研究所)』にいう「精神および行為」を表す形容詞について調査を行なった.この結果から,既存辞書においては語義記述と,語の文法的・文体的性質,語源・由来,表記法等に関する情報とがきわめて不分明であること,辞書ごとに用いられる語釈用語のずれが大きく,特に,読者にとっての読みやすさを目指したと思われる記述スタイルが,そうしたずれを大きくする場合があること,等が指摘される. 2.学習基本語彙表との比較:すでに作成されている各種語彙表の採録語彙対照表と,上記の調査結果を比較して,意味記述用語として学習語彙に追加すべき語の範囲を検討した.その過程で,それぞれ多義的である各語の用法を制限することなしにこの操作を行なうことにはさしたる価値がないとの結論に達し,各語の用法の網羅・分類の作業に着手したが,これまでに成果をとりまとめるに至っていない. 3.意味記述用基本語彙の選定と記述に関する展望:これらの作業を通じて指摘されると思われることがらとして,次のようなものがある.(1)語義の客観的記述のための用語と,外国人学習者に対する意味説明のための用語とは明確に区別して設定されるべきである.(2)学習者向け説明用語彙は,かなり狭い範囲に限定することが望ましく,またそれは可能である.ただし,学習者の背景等により,その内容は調整する必要があると予測される.(3)説明用語彙は,その各語がどのような意味で用いられているかを明確にする必要があり,その用法分類と限定の作業がまず行なわれなければならない.
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