1989 Fiscal Year Annual Research Report
口承文学として残存する沖縄芝居(演劇)に関する研究
Project/Area Number |
01510303
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
比嘉 美代子 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 助教授 (90091131)
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Keywords | 沖縄芝居の研究 / 沖縄の口承文学の研究 / 沖縄芝居の歌劇について / 沖縄演劇の研究 |
Research Abstract |
平成元年度(研究実施初年度)は、主として沖縄演劇史(芝居史)を研究すると共に、いくつかの芝居をプロの役者や沖縄芝居に造詣の深い古老達にインタビュ-して収録した。特に、琉球名作歌劇に焦点をしぼって収録したが、まだ文字化するまでには、至っていない。 沖縄最古の歌謡詩集「おもろそうし」と宮廷演劇として誕生した「組踊り」の基本図書を購入し、精読しながら口立芝居(沖縄芝居)との関係や影響について研究を続けているが、まだ完全には読み終えていない。平成二年度には、ある程度まで読み進んでみるつもりである。特に、「組踊り」は、沖縄芝居の祖といわれ口立芝居に多大な影響を与えているので、可能な限り数多くの「組踊り」を熟読し研究をすすめるつもりである。「組踊り」と「口立芝居」の共通点や差異等も確認しつつ、一般庶民の娯楽として誕生した口立芝居(この研究では、歌劇に焦点を絞る。)の特色を把握する。 「組踊り」を研究して理解したことは、プロットが儒教精神に基くもので、勧善懲悪が主流をなしていることである。勿論、中には封建制度に束縛されない自由な恋愛感情を歌い上げているのもあるが、圧倒的に多いのは仇討ちもので、勧善懲悪が目玉になっている。それに比べ、一般大衆の娯楽として発生した沖縄芝居は、勧善懲悪が色濃く出ていても、庶民の自由な心の様子が生き生きと描かれている。 特に、歌劇は男女の恋模様をえがいたものが多く、封建制度のしがらみの中で親の薦める縁談と自由意志に基く恋愛との葛藤を描いたものが結構多い。名作歌劇として名高い「泊阿嘉」を収録してあるので、早急に日英両語で脚本をしたためる予定である。
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