1990 Fiscal Year Annual Research Report
口承文学として残存する沖縄芝居(演劇)に関する研究
Project/Area Number |
01510303
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
比嘉 美代子 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 助教授 (90091131)
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Keywords | 沖縄芝居 / 沖縄の口承文学 / 沖縄芝居の歌劇 / 沖縄演劇 / 歌劇の女性 |
Research Abstract |
研究実施二年度は、初年度に引き続き琉球歌劇に多大な影響を与えている組踊り関係の基本図書を購入し精読した。全部読破することは不可能であったが、教ある組踊りの中でも異例の平敷屋朝敏作の『手水の緑』は、何度も読み、のちの琉球歌劇に与えた影響について研究を重ねた。義理人情や勧善懲悪をテ-マとした王城朝薫の組踊りとことなり、平敷屋朝敏は、男女の恋愛感情を真正面から見据えて描き、それに評価を与え、何ものにも束縛されない人間の自由な心情を『手水の緑』で扱っている。これは、若い男女の慈恋物語として有名な琉球歌劇『泊阿嘉』の世界にも通じ、若い男女の純なる魂のふれ合いを高く評価している。平敷屋朝敏の『手水の緑』との出合いは、琉球歌劇に対する(私の)認識をより深めることができた。 研究初年度に収録した『泊阿嘉』を十分に理解した上で、日英両語に翻訳するつもりであったが、まだ完了していない。その理由は、シェイクスピア『ロミオとジュリエット』と『泊阿嘉』の比較研究の論文を仕上げるのに多くの時間を費やしたからだが、近々に完了するつもりである。翻訳作業が予定通り運ばないのは、方言の難解さにあり、収録したものの意味不明な表現が多く、それらを沖縄方言を解する古老達に再度インタビュ-し解説して貰うという実に煩雑な作業をくりかえしやっているからである。又、通常の話言葉と違い沖縄芝居独得の芝居言葉というのがあり、実に難解なのである。そのため、沖縄方言や芝居言葉についても研究せざるを得なかったので、予定通りことが運ばなかったのである。しかし、一応研究論文を一つ仕上げたので、満足はしているが研究実施の最終年の平成三年度は、収録したものを日英両語で翻訳し、また平敷屋朝敏の『手水の緑』が如何なる影響を『泊阿嘉』にもたらしたかについて研究論文を書きあげたいと思っている。
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