1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01520017
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小栗 實 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (90144104)
|
Keywords | 大臣責任制 / 議会 / 内閣 / 憲法 |
Research Abstract |
研究課題「近代イギリスにおける行政国家現象と内閣の機能」について,本年度は3つの作業を同時的にすすめた。 まず第一に、内閣が歴史的にはじめて形成された17世紀の市民革命期とくに1649年から1660年までの共和制期について、この科学研究費で購入した史料を読んで、その時期の法令、制度を分析することにより、どのような形で内閣-その時点では議会の一委員会-が形成されていったかを編年体の形でまとめる作業をおこなった。資料が膨大な量におよんでいることもあって、なお作業が中途にとどまっているが、この年表は、「イングランド共和制期の議会と政府」と題する論文の付録として作成し、いずれ公表の予定である。 第二に、現在のイギリスの政治の中で「大臣責任制」がどのように運用され、それが憲法学・政治学・行政学などでどのように考察されているのかを知るために、現代イギリス政治をあつかった書物を検討することであった。そうした作業の結果、イギリスでは「変容する憲法」あるいは「新しい憲法」という言葉があらわしているように、これまで憲法学の通説とされてきたダイシ-学説が見直されていることがわかった。そうした紹介として、J.Jowell & DOliver,The Changing Corstitution・1985、の1章であるC.Turpin執筆の“Ministerial Responsibility:Myths or Reality"を翻訳した。その(上)がすでに公表され、(下)が今年度9月に公表の予定である。 第三に、日本の近代イギリス政治・憲法研究にかんする書物を収集し、検討することにつとめた。この作業は、研究史の整理の意味をもつ。 来年度はこれらの作業をまとめるとともに、考察対象を徐々に18世紀に移して生きたいと考えている。
|