1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01520018
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中島 茂樹 立命館大学, 法学部, 教授 (10107360)
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Keywords | 制度的保障 / 制度的基本権理論 / 制度的法思考 / カ-ル・シュミット / ポ-タ-・ヘ-ベルレ |
Research Abstract |
主として、ヴァイマル憲法下におけるシュミットの制度保障・制度的保障理論を検討してきた平成元年度の研究にひきつづき、平成2年度は、ボン基本法下におけるヘ-ベルレの制度的基本権理論を検討することとし、そのうえで両者の理論を「制度的なもの」の視角から分析し、もって両者の理論の特質と相互の関係ならびにこれらの理論に含まれる憲法解釈上の問題点を解明することとしていた。 本研究により、第一に、ヘ-ベルレの制度的基本権理論にあっては、(1)基本権は、「制度的に保障された生活関係、すなわち基本権の制度的側面ならびに基本権を豊富化する規範複合体」のなかで初めて実現・具体化され、そこから「方向と基準、内容と課題」を受け取ること、したがって、(2)すべての基本権からその制度的側面を引き出す新しい基本権解釈によって、「制度としての基本権」、すなわち主観的自由権の客観的法への解消という制度的法思考本来の帰結が導き出されていること、などが明らかになった。 第二に、シュミットの制度保障・制度的保障理論を「制度的なもの」の視角から検討することにより、彼自身が制度的保障と捉えるもののなかの限定されたものについてであるにせよ、主観的権利の客観的法への解消という制度的法思考本来の意図が明示的に表明されていること、などが明らかになった。 かくして、第三に、シュミットの制度保障・制度的保障理論とヘ-ベルレの制度的基本権理論との間に「解釈方法上の構造的類似性」が歴然と存在しており、したがって、両者いずれも、究極的には、基本権規定の客観化、すなわち客観的法としての基本権の内容そのものの演繹と同義となる傾向性がつねに内在していること、などが明確になった。
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Research Products
(1 results)