1990 Fiscal Year Annual Research Report
民事執行法の下での大都市・中小都市・農村部における不動産執行に関する実態調査
Project/Area Number |
01520019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林屋 禮二 東北大学, 法学部, 教授 (90004168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三條 秀夫 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (80196336)
山本 和彦 東北大学, 法学部, 助教授 (40174784)
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Keywords | 民事執行法 / 不動産執行 / 不動産競売 / 強制執行 / 実態調査 |
Research Abstract |
1平成元年度から開始された不動産執行事件記録閲覧調査について、より詳細なデ-タを得るため、仙台地裁において補充調査を行なった。同地裁においては、前回の調査対象時期が不動産執行手続実務の転換期にあたっており、当時と比較して執行手続の一般的な迅速化が実現したことが、補充調査により実証された。 2上記により収集されたものを含め、調査対象となった各地裁でのデ-タを、コンピュ-タにより整理・分析し検討した。さらに不明な点につき、研究会を催しまた各地裁を訪問して執行事件に携わる裁判官の意見を得るなどして補強を加え、雑誌論文として報告した。現行民事執行手続の実態については、次のような評価を与えることができよう。 (1)民事執行法による不動産執行手続は概ね良好に運営されているが、所要期間などの面でいまだ改善の余地が残されている。 (2)旧法時代との比較としては、手続関係者や対象物件の属性が相当に変化してきていることが看取される。すなわち、かつて中小事業金融の回収手段として利用されてきた同手続は、現在はむしろ消費者金融の回収手段へと重心を移してきつつあると推測される。 (3)各地裁での手続運用に相違のあることがあきらかとなった。さらにその原因は各地域の社会的・経済的特性に由来していることも実証された。しかし手続の性質上、一般的には全国統一的な運営が望ましく、今後の課題となった。 3執行手続終了後の当該不動産の権利関係を調査するため、各法務局を訪れ、登記簿閲覧による追跡調査を行なった。手続が任意に取下げられたか競売に付されたかを問わず、多くの物件は手続終了直後に譲渡され、さらに転売されており、不動産仲介者の存在が推測される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 東北民事執行研究会: "不動産執行の実態(上)(中)(下)ー東京・仙台・福島・青森各地裁における記録調査に基づいて" 判例タイムズ. 744,745,746. 4-18,14-44,35-62 (1991)