1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森棟 公夫 京都大学, 経済研究所, 教授 (20109078)
|
Keywords | FIML推定量 / LIML推定量 / 同時方程式モデル / モカテカルロ実験 / 2SLS推定量 |
Research Abstract |
研究計画にそって、第一年度は完全情報推定量としての修正三段階最小2乗法(M3SLS)推定量を中心にしてのモンテカルロ実験を行なった。完全情報推定量に対する単一方程式法としては、制限情報最大推定量(LIML)、二段階最小2乗推定量(2SLS)、Fullerによる修正制限情報最大推定量(FLIML)、そしてM3SLSの特殊型としての修正二段階最小2乗推定量(M2SLS)を分析した。 モンテカルロ実験はかなり大がかりなものになったが、京大大型計算機センタ-を中心にして、また「SAS」を大巾に利用して計算を行った。さらに計算結果より、各推定量の分布、特に密度関数をプロッタ-により作図し、グラフィクスを使った推定量の性質の理解も計られた。 結論としては、計算費用その他で困難な点の多い完全情報推定量よりも、FLIMLを中心とした単一方程式法の秀れた点を見出したことにあろう。特に完全情報推定量による効率性(efficiency)はさして単一方程式法の効率性を凌ぐものではないことがわかった。さらに推定量のバイアスについては、単一方程式法は十分な研究がなされているだけにM3SLS推定量よりも小さいバイアスをもたらす推定量が存在することがわかった。(FLIML,LIML) 以上の結果より実際の推定においても、単一方程式法、特にFLIML法が優れた推定法として推奨される結果となった。 なお、研究の途中経過は、世界計量経済学会極東大会(1989年6月末同志社大学にて)で報告された。
|
-
[Publications] 森棟公夫: "t Test in a structural Equation" Econometrica. 57. 1341-1360 (1989)
-
[Publications] 森棟公夫,坂田真一: "Full Information Estimator Compared With Single Equation Estimators" KIER ディスカッション・ペ-パ-. 255. 1-32 (1989)