1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530019
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
望月 喜市 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (80002989)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶺野 幸子 北海道大学, 経済学部, 助手 (30001837)
遠藤 薫 小樽商科大学, 商学部, 教授 (10002198)
|
Keywords | ソ連統計 / 情報公開 / 財政統計 / 軍事費 / 経済循環 / GNP / 対外債務残高 / 地下経済 |
Research Abstract |
本年のソ連の経済統計の公開状況は、そのグラ-スノスチ(情報公開)政策分野での一定の発展にも拘らず、結果として期待を裏切るものであった。たとえば、ソ連の経済社会統計の最も中心的資料として期待されている『ソ連国民経済統計年報』の最新年度版(1988年)をとってみると従来の情報量とほとんど変化なく、その内容に於いて、若干の統計項目においてその接続制が失われている。このことは、産業別長期傾向分析をする際に大きな妨げになるものである。一方、この統計集以外に並行して専門分野別の統計集(労働、農業、建設など)の発行が復活発行されはじめたほか、新規情報紙『事実と論議』には、しばしば従来未公開であった統計数字が掲載されるようになった。現在のソ連統計の研究では、このようなミッシングリングを忍耐強く掘り起こす調査活動が必要である。 モスクワで財政問題の専門家に面接し、国家予算の不明な項目をただし、財政欠損に通貨発行に結び付くものと、中央銀行借入れによる分があることを確かめた。軍事予算の構成項目がよりはっきりした。しかし項目別の価格の歪は依然不明である。西側と比較可能なGNP計算値が発表されるようになったが、その計算の項目別統計は依然不透明である。対外債務残高は発表されるようになったが、国内通貨発行高、外貨取引、金取引に関する体系的統計数字は未公開。財政、対外経済関係と経済循環との関係も不明。中央数理経済研究所から社会統計部門が研究施設として独立、シェビャコフ氏(元スラ研外国人研究員)が所長に就任し、札幌で研究会を開催、ソ連統計の改革動向を説明した。その際消費統計に関する共同研究実施に同意した。アメリカでは、ソ連の地下経済に関する優れた研究も発表されている。近く、以上の調査を踏まえ、ソ連統計に関する論文をまとめる。
|
-
[Publications] 望月喜市: "ソ連経済のインフレ原因の分析" 経済評論. NO.2. 2-15 (1990)
-
[Publications] K.MOCHIZUKI: "Statistical Policy Model of the Soviet Economy" J.S.Berline and others.ed.Economics of the Socialist Countries(Maruzen Tokyo). 78-83 (1990)
-
[Publications] 望月喜市: "ソ連経済の現状と89年計画" 『スラブ研究』. 36. 129-148 (1990)
-
[Publications] 遠藤薫: "SASのAUTOREGプロシジャ-における自己相関係数について" 『小樽商科大学情報処理センタ-公報』. NO.1. 4-6 (1990)
-
[Publications] K.MOCHIZUKI P.A.Minakir,V.P.Chichikanov co,-ed: "Sovietsko-Yaponskie Econom:cheskie OtnosheniyaV Tikho-Okeanskuyu Eru" Khabarovsk Poblisher, 331 (1990)