1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530028
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上原 一慶 京都大学, 経済研究所, 教授 (60052544)
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Keywords | 局地経済圏 / 地方分権 / 華南経済圏 / 浦東開発 / 郷鎮企業 / 経営自主権 / 中小企業 / 委託加工 |
Research Abstract |
本年度は、近年注目されるにいたっている局地経済圏成立の、中国側の条件について検討を行なった。局地経済圏成立を広東ー香港の華南経済圏についてみると、基本的に、地方の権限の拡大と自主的に活動する経済主体の発展の二条件をあげることが可能であるとの結論を得た。条件の第一に関しては、昨年度の研究において、中国に現実に形成されたシステムは、改革が目標としていた分権的・市場的システムではなく、地方分権的・混合的システムであった、として、既に折出していたところのものである。本年度の研究も基本的にはこの結論に立脚している。但し、昨年度の場合、本来、企業への権限の移譲を目的にしていたのに、地方分権レベルにとどまっているという、消極面に力点を置いていたが、本年度の研究では、むしろ、地方政府の地域経済振興政策能力の拡大という点に力点を置く必要があると考えるにいたっている。条件の第二は、本年度の研究で、新たに解明したものである。中国の改革は、国有企業を自主的に活動する経済主体にすることに関しては、未だ成功していないが、自主的かつ活発に活動する郷鎮企業をはじめとする非国有企業の発展の面では、全体的にみて成功したといえる。華南経済圏の成立の背景にはこうした、自主的に活動する非国有企業の存在が重要であることを確認した。このことは、単に地方に権限を与え、対外開放をおしすすめれば、局地的経済圏が成立するのではないかという、今日の中国各地方にみられる期待に疑問を投げかけるものである。福建ー台湾とのいわゆる両岸経済圏の形成がうたわれているが、現実には、今日、台湾投資の多くは、広東省の方に流れている問題も、福建省における非国有企業の発展という視点から検討されるべきであると考えている。但し、この点は今後の課題である。
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Research Products
(2 results)