1989 Fiscal Year Annual Research Report
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01530030
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
竹中 恵美子 大阪市立大学, 経済学部, 教授 (10046881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 良子 大阪市立大学, 生活科学部, 助手 (80198770)
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Keywords | 家事労働 / 女子労働 / 家父長制 / 家事サ-ビス / リプロダクション / ニュ-ワ-ク / フェミニズム / 労働力の再生産 |
Research Abstract |
1.本年度は家事労働問題に関する国内外の理論的研究を、理論と歴史の2方向から研究した。歴史的考察の軸は1)家父長制と性別役割分担、2)家族及び家族形態、3)家庭における生産と消費の分離の展開、の三点、理論的考察の軸は1)労働力の商品化、2)いわゆるリブロダクション、生命の直接的再生産の視角、3)経済生産活動の中での家庭における消費の位置づけと消費内容の分析、の3点を設定し、日本および諸外国の家事労働およびそれとの関連の女子労働問題を今日的観点から再検討し、その到達水準についての評価をおこなった。欧米特にアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスの実態と研究の歴史的サ-ベイと理論的評価の素材として、Feminization of labour forceをとりあげ詳細に検討した。 2.家事労働の実証的研への準備としては、1)これまでに行われている家事労働に関する調査及び報告書(「女性の職場進出と家族機能の変化に関する調査研究」(雇用職業総合研究所)、「東京多摩ニュ-タウン生活時間調査」、「新しい仕事づくりの可能性、゙女性の職業創出゙に関する調査研究」(神奈川県立婦人総合センタ-)など)を入手し、検討と分析をおこなった。その結果、現段階の家事労働の一応の輪郭を、生活時間、仕事内容の点から把握できた。2)また、当初予定していた調査の実施について予算・人手の点から計画どおりの実施が困難であることが明らかとなったため、平成2・3年度の調査計画を縮小することとした。3)家事サ-ビス商品の販売状況に関する研究は次年度に行なうこととした。4)家事サ-ビス商品分析と関連して、「家事の社会化」傾向についても現状を把握については、特に「新しい仕事づくりの可能性、゙女性の職業創出゙に関する調査研究」にみられるニュ-ワ-ク論について検討した。こうした働きが、女子労働化と高齢化の中で家事労働問題に関してどのような展望と問題をもっているかについては引き続き次年度以降検討をすすめる。
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[Publications] 竹中恵美子: "1980年代マルクス主義フェミニズムについて若干の覚書" 大阪市立大学経済学会『経済学雑誌』. 90巻2号. 1-24 (1989)
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[Publications] 竹中恵美子: "戦後女子労働史論" 有斐閣, 382 (1989)