1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01530073
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
古田 龍助 熊本商科大学, 商学部, 助教授 (00190158)
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Keywords | 産業ライフサイクル / 下位企業の戦略 / 集中戦略 / 製品@市場ミックス / 新製品の導入・育成 |
Research Abstract |
89年度を通じて、鉄鋼・繊維など6つの業界における約170社の上場企業について、過去20年間にわたる各種経営デ-タが収集され、ハ-ドディスクの内部にデ-タベ-スとして蓄積された。まだ、統計分析による本格的な仮説検証の段階には至っていないが、視角的に得られた情報にもとづく確認は可能である。その結果得られた若干の知見を、当該年度の研究成果として以下のようにまとめたい。当初の研究計画によれば、下位企業にふさわしい戦略型として集中戦略というものが、本研究における鍵概念として設定された。しかしながら、集中戦略は産業ライフサイクルの進行過程のどの段階でも有効なわけではなく、合理的な企業であれば、急成長期には拡散型を停滞期には集中型と戦略のパタ-ンを使い分けるであろうと仮設された。十分に根拠のある仮設だと思われたが、結論から言えば、戦略型の使い分けという仮設はデ-タによってまったく支持されていないようだ。ただし、上場下位企業の長期にわたる業績(収益性と成長性)を左右する要因として、製品/市場ミックスの展開状況は明らかに集中型の方が有利であるように見える。優良な上場下位企業が示した長期にわたる戦略にかんして、予期せず得られた知見は次のようなものである。まず、優良グル-プは20年間にわたって、実に一定した新製品導入・育成のパタ-ンを保っていることが印象的である。旧製品系列と新製品系列の密な連係を保ちながら、ほぼ10年の間隔で主軸となる製品を後退させているのである。そして、このような企業群は業界全体の浮き沈みにもかかわらず、平均以上の収益性を維持しながら着実な成長を示している。逆に低迷下位企業グル-プでは、長期にわたって終始拡散的で変化の少ない製品/市場ミックスを維持する傾向が認められる。これらの企業の業績は、その結果として、産業ライフサイクルとともに波乗りのように大きく変動するのである。
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Research Products
(2 results)