1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540225
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大江 昌嗣 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (00088783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里 嘉千茂 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (80150001)
佐々木 恒 国立天文台, 水沢観測センター, 助教授 (20088785)
木下 宙 国立天文台, 位置力学研究系, 教授 (00012857)
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Keywords | 海洋分布 / 海洋潮汐数値モデル / 固体地球の粘性 / 潮汐トルク / 地球自転速度変化 / 月軌道塩化 / 地球の偏平率の効果 |
Research Abstract |
潮汐摩擦による地球回転と月の軌道変化を地球・月形成の初期にまでさかのぼって推算できる可能性が見えて来た。問題はいかに計算の精度を高めるかにある。それを左右するものとして、(1)海洋分布の年代変化と海洋潮汐数値モデルの精度、(2)固体地球の粘性の変化、(3)潮汐トルクによある地球・月系の運動方程式とその積分精度、などがある。今年度はこれらについての検討を行ったので順を追って説明する。 1.過去の海洋分布についての資料を収集し、特に約2.5億年前のパンゲア大陸についての大陸棚及び深海の分布を求めた。それらと現在の海洋の水深分布との比較を行った。潮汐方程式における摩擦項について、速度の1次項にした場合、2次項にした場合、更に水平うず粘性項を加えた場合の色々の組合わせについて数値積分によって得られる結果の比較を行った。また、得られる潮汐トルクの効果と天文観測による地球回転・月軌道の変化量とを比較し、摩擦項のパラメ-タの決定を行った。 2.地球潮汐観測デ-タにより天体の起源力に対する位相遅れを求めた。また、固体地球潮汐のQの周波数依存性が地球・月系の力学的進化にどのように影響するかを調べた。 3.月軌道面及び地球回転に関する従来の運動方程式に地球自転速度の変化に伴う偏平率(J_2)の効果を加え、才差・章動と潮汐作用とを同時に解いた。また、ルンゲクッタ法により積分の精度を高めた。更に、軌道の離心率の影響を同時に解く方法について目下検討中である。 1,2,3を総合して過去数十億年間の月軌道及び地球回転の計算を行った。まだ予備的ではあるが、月の初期の位置について興味深い結果が得られている。
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[Publications] 大江昌嗣: "Effects of configuration and bathmetry of the oceans on the tidal dissipation of the Earth's rotation" Journal of Physics of the Earth. 37. 345-355 (1989)
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[Publications] 大江昌嗣: "地球の潮汐変形と月の軌道の変化" 地球及び惑星内部研究会集録、1989年12月20日〜22日、国立天文台. (1989)
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[Publications] 大江昌嗣,佐々木恒,木下宙: "Effects of the tidal dissipation on the Moon's orbit and the Earth's rotation" AGU Monograph on Variations in Earth's Rotation. (1989)