1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤野 豊 東北大学, 工学部, 助手 (60005402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 勝憲 東北大学, 工学部, 教授 (70005940)
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Keywords | 銀-マグネシウム合金 / 逆位相長周期構造 / 秩序・無秩序相転移 / 1次相転移 / 非線型・非平衡相転移 / フェルミ面のネスティング / 電荷密度波 / ポテンシャル・エネルギ-波 |
Research Abstract |
平成元年度においては、Ag-Mg合金の逆位相長周期構造がどのような経過を辿り形成されるかを、透過型電子顕微鏡を用い、格子像および回折像を撮ることにより、実空間および空間の両面から観察した。得られた格子像および回折斑点の相対強度の評価、さらに格子像に対する詳細あ計算機シミュレ-ションの結果から、無秩序相から逆位相長周期構造(M【similar or equal】2)が形成される課程は、通常の1次相転移の場合におけるような核生成、成長の機構とは異なり、まず初めに逆位相長周期構造とほぼ同じ平均周期を持つ規則化した(高秩序度の)部分と無秩序(低秩序度)の部分が周期的に層状をなす準安定な構造が形成され、その後、次第に秩序化が進行して、逆位相長周期構造が出現するという機構によることを見出した。さらに、本研究で見出された、規則化した部分と無秩序の部分が周期的に層状をなす構造を経由するこれまでに報告例のない新しいタイプの秩序形成過程は、Fermi面の(110)方向の平らな部分におけるネスティングに起因して生じるものであるとする解釈を提案した(Phys,Rev.Lett.に投稿中)。本研究で得られた上記の結果は、合金の逆位相長周期構造の成因・安定性に関してFermi面近傍の電子の果す重要な役割を示唆するものである。加えて、金属物理学における理論面に対しては、対相互作用エネルギ-的取り扱いの持つ近似の限界等に関して、また、応用面からは、人工超格子の作成の際、その安定性等に関して、新たな知見を与えるものと 本研究で見出した新しいタイプの秩序形成過程は、Ag-Mg合金に限らず他の合金系にも存在するものと考えられる。今後は、Ag-Mg合金の組成および熱処理条件を変えて、また他の合金系を用いて、この新しいタイプの秩序形成過程に関して、実空間とK空間の両面から詳細な観察デ-タを蓄積する計画である。
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Research Products
(1 results)