1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540261
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 泰男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨吉 昇一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50005922)
大橋 正義 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00005894)
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Keywords | 中性子分光 / 反強磁性体 / 単結晶作成 |
Research Abstract |
近年における磁性研究のめざましい発展の一つ「スピンのゆらぎ」による統一理論(SCR理論)の展開である。この理論は既に弱い強磁性体MnSi、Ni_3Al等の性質を定量的に説明できるところまで達している。現在、弱い反強磁性体について理論計算がなされており、これに見合う実験が待たれている。一方、遍歴電子を含む反強磁性体ではバンド構造を反映した急勾配のスピン波が観測される等、強磁性体の場合とはかなり異った様子が報告されている。 我々は、理論と比較できる程度に単純で典型的な弱い反強磁性体の単結晶を作成しSCR理論の検証を目指す。ここでは、FeSbを選び単結晶化を試みている。小型トリア-ク炉に改造を加え単結晶引上げができるようにし、Sb過剰融液からの作成によって、化学量論的組成に近い単結晶を作成せんとしている。目下のところFe_<1.27>Sb(T_Nより組成を出した)とまだ化学量論的組成とは隔たりがある状態である。化学量論組成に近い単結晶作成は鋭意努力中である。 一方、同じく金属反強磁性体M_<n3>Ptについては、単結晶作成に成功し、中性子分光によってスピン波および常磁性散乱の実験を行いつつある。M_<n3>PtはT_N=480Kと高く、また、Mn当りの磁気モ-メントも2.5μ_Bと大きいので、弱い反強磁性の範囲からは少し外れるが、そのスピン波の傾きは分子場の予想より約2倍大きく、また、スピン波の緩和も大きくて、金属反強磁性体の特徴を備えている。M_<n3>Ptで面白い点はその磁気構造にあり、低温では三角スピン構造、高温側でColl inearなスピン構造をとり、各々特徴的なスピン波分散を示す。特に三角スピン構造では、三本の音響モ-ドが出ることを示した。またNeel温度近傍でのスピンダイナミックスよりこの転移が、三次元磁気秩序が二次元秩序に移り変る点であることを見出した。
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