1989 Fiscal Year Annual Research Report
空中脂質二分子膜の膜厚転移における膜内電気伝導性の研究
Project/Area Number |
01540290
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東崎 健一 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30102031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 照子 千葉大学, 教育学部, 教授 (90017905)
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Keywords | リン脂質膜 / 電気伝導 / リゾレシチン / 塩濃度依存性 / Caイオン吸着 / Newton black film / Common black film |
Research Abstract |
両親媒質性リン脂質(palmitoylーlysophosphatidylcholin)にCaCl_2又はNaClを添加した溶液から空中二分子膜を作り、電気伝導率Kfを塩濃度および温度をかえて測定した。 1.(濃度変化)NaCl添加系では50mMの塩濃度まで膜厚が不変で、Kfは濃度に比例して増大した。これに対しCaCl_2添加系では、1mMの濃度でKfが急変した。この変化がNewton black film(NBF)からCommon blaok film(CBF)への転移によるものであることを目視観察と膜間水層の赤外光吸収によって確認した。NaCl添加系のKfは水溶液の電気伝導率から算出した膜間水溶液部の伝導率と一致した。塩濃度が1〜50mMのCaCl_2添加系でのKfは膜間水溶液部の伝導率よりも大きく、Ca^<2+>が吸着した脂質部分の電気伝導が寄与していることになる。この増分は塩濃度に比例しており、Ca^<2+>の特異な吸着が膜厚転移をひきおこしていると考えられる。 2.(温度変化)温度を25〜40℃まで変化させてCaCl_2添加系のKfを測定した。これより活性化エネルギ-Ekを求めることができる。塩濃度1〜70mMのCBFでEkは約4kcal/molであった。これは塩無添加溶液のEkと一致する。一方1mM以下のNBFでは、Ekは8〜9kcal/molと大きな値を示した。このことより、低塩濃度水溶液から作ったNBFの電気伝導には、膜間水溶液部ではなく、脂質膜部あるいは脂質・水界面での伝導機構が寄与していることがわかる。 3.今後Ca^<2+>以外の2,3価イオン種を用いた実験を行うと共に、Exerowa(ブルガリア)らの顕微鏡観察等の結果を含めて検討を行う。
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