1989 Fiscal Year Annual Research Report
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01540300
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 隆 山口大学, 理学部, 助教授 (00127797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 孝尚 山口大学, 教養部, 講師 (30184154)
原 哲彦 山口大学, 理学部, 教授 (60034724)
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Keywords | 脂質分子 / 液晶相 / 動的構造 / コンピュ-タ-・シミュレ-ション / X線散漫散乱 / 誘電測定 / 単結晶 / n-アルコ-ル |
Research Abstract |
脂質多分子膜系の動的構造に関する理論的および実験的研究から、平成元年度は以下のような研究実績を得た。 1.計算機実験:上記液晶相内での分子鎖のコンホメ-ションのゆらぎをコンピュ-タ・シミュレ-ションにより研究した。分子鎖の空間的構造を表現する内部回転角の二体相関々数、およびそのパワ-スペクトルの解析から、極めて特徴的なゆらぎのモ-ドを発見した。また分子軸に垂直方向の大きなゆらぎの存在も確認した。 2.X線回折実験:n-アルコ-ルの混晶系の液晶相でのX線散漫散乱実験デ-タの解析を行い、この相の動的構造を明らかにした。この相では、分子鎖の分子軸方向の運動が極めて大きいことがわかった。それに対し、分子軸まわりの回転運動は、かなり制限されていることも明きらかになった。これらの結果は、我々のコンピュ-タ-・シミュレ-ションの予測ともよく一致した。 3.単結晶育成:科研費にて購入した精密恒温水槽の使用により脂質分子単結晶の育成はきわめて改良された。従来1ケ月近く要した育成が、2.3日で行えるようになった。 4.誘電測定:デイジタルLCRメ-タ-と、今回購入したGP-IBインタ-フェ-スにより、誘電率の測定が極めて高速化され、脂質分子結晶の相転移過程などの過渡現象を研究できるようになった。冷却過程で観測される準安定相への転移に際しての誘電異常を観測できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 山本隆: "X-ray and thermal studies on the rotator phases of normal higher alcohols C_<17>H_<35>OH,C_<18>H_<37>OH,and their mixtures" Journal of Chemical Physics. 92. 631-641 (1990)
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[Publications] 山本隆: "高分子ダイナミックスのシミュレ-ション" 高分子. 39. (1990)