1990 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙初期におけるクオ-ク・ハドロン相転移と元素合成の研究
Project/Area Number |
01540308
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 東京大学, 理学部, 教授 (00111914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 順一 東京大学, 理学部, 助手 (50212303)
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Keywords | 元素合成 / クォ-ク / 宇宙初期 / 軽元素 / 宇宙論 |
Research Abstract |
宇宙初期においては種々の相転移が起こることが素粒子論から示唆されているが、クォ-クからハドロンへの相転移は必ず起こる相転移であり、それが一次の相転移である可能性が極めて高いことが格子ゲ-ジ理論から示されいてる。この研究の目的は1)この相転移を数値計算により追跡し形成されると考えられる等温密度揺らぎの振幅、波長スペクトルを明かにし、2)その元素合成への影響を明らかにすることである。特に密度揺らぎによって ^4Heの過剰生産が抑えられ,且つDが十分形成されるかを調べバリオンによって宇宙を平坦にすることが可能か(Ω_b=1)明らかにすることである。これまでの研究において相転移の進行を解明するための第1段階としてハドロン相によって囲まれた孤立クオ-ク相の進化を調べ、クオ-ク塊が残存出来るか、又熱発を起こした場合にはバリオン数密度の空間的分布(等温揺らぎの構造)がどの様になるかを明らかにした。さらに、これらに基づき元素合成の計算を系統的に行なった。我々の開発した元素合成プログラムは現在世界に流布しているWagonerプログラムと比較すると、含まれている元素数が80余(中性子過剰核も含む)と多いだけでなく、その計算精度、安定性においても優れているが、これを中性子の空間的拡散をもインプリシットに解くプログラムに拡張し、求められたバリオン密度分布のもとで、 ^4He、 ^7Liの過剰生産が抑えられるか、且つDを十分生成できるかを調べた。その結果宇宙のバリオン数密度はこの様な非一様性を考慮してもせいぜいΩ_b=0.06までであることを明らかにした。さらに適当な等温揺らぎのサイズでは低密度側に拡散してきた中性子によりrーprocessが進行する可能性を定量的に調べた。しかし拡散中性子が再び高密側へ逆拡散して帰る効果のためそれが因難であることを明らかにした。
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[Publications] N.Terasawa K.Sato: "Prodaction of ^9Be and Heavy Elements in Inhomogeneons Universe" Astrophysical Journal. 362. L47-L49 (1990)
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[Publications] N.Terasawa,H.Reeves K、Sato,J.Richer: "On the Origin of Lithiom" Astrophysical Journal. 355. 18-28 (1990)