1990 Fiscal Year Annual Research Report
クラスタ-イオンの電荷移行反応および解離過程の研究
Project/Area Number |
01540320
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小泉 哲夫 立教大学, 理学部, 助教授 (90147926)
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Keywords | クラスタ-イオン / イオン・分子反応 / 電荷移行反応 / イオンスウォ-ム |
Research Abstract |
本研究では簡単な二原子分子からなる小さなクラスタ-イオン[(AB)_n^+:n=2ー10]に着目し,クラスタ-イオンと中性分子の衝突過程を実験的に解明することを目的とした。本年度は移動管内での反応過程の測定とクラスタ-イオンの生成の実験を行った。 1.移動管内での電荷移行反応定数測定 液体窒素温度のKr中のKr^<2+>の移動度がイオンの電子状態のよって異なることを利用して Kr^<2+>( ^3P_<2.1.0>, ^1D_2)+AーーーKr^++A^+(A:CO,NO) の反応定数をイオンの電子状態を分けて測定した。その結果電子状態により反応定数に大きな違いがあることを見いだした。また標的としてHeを用いたところ,電荷移行反応は観測されず,Kr^<2+>( ^1D)ーKr^<2+>( ^3P_1)となる脱励起反応が観測された。この様な低エネルギ-領域で脱励起反応が観測されたのは初めてである。 2.クラスタ-イオンの実験 クラスタ-イオンの衝突過程の実験のために,質量分析器および衝突室の設計・組立を行った。移動管中のN_2ガスにN_2^+イオンを打ち込み生成されたクラスタ-イオンを衝突室まで導いた。その結果(N_2)_n^+(n=2ー9)のクラスタ-イオンが観測された。質量スペクトルを見るとn=5,7のところで生成イオン量に大きなギャップがあり,クラスタ-イオンの殻構造を示している。平岡らの高圧質量分析計の実験ではこの様な殻構造は報告されておらず,この違いは今後の課題である。n=4ー6ぐらいのクラスタ-イオンの強度も衝突実験に充分使用できる程取れており,今後衝突実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)