1989 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下でのMg・ペロポスカイトの弾性波速度の測定と下部マントル物質構造の解明
Project/Area Number |
01540327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 英幸 東京大学, 地震研究所, 助手 (50012927)
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Keywords | Mg・ペロボスカイト / 弾性波速度 / 高圧実験 / 下部マントル / 670km不連続 |
Research Abstract |
Mgペロボスカイトを合成するためには、すくなくとも25万気圧程度の高圧を必要とする。このような超高圧下で得られる試料の体積は極めて微少である。現在手元にある試料は、直径約1mm、長さ約2mmである(岡山大学地球内部研究センタ-の伊藤助教授により合成された)。これは、現時点で望み得る最大の試料はあるが、弾性波速度の測定という面から見るといかにも小さい。そのため、まず第一に弾性波速度測定技術の改良が必要であった。このペロボスカイトの縦並速度は10km/sec以上あると予想されるから、音波の伝播時間は片道200ナノ秒以下である。したがって、試料中に励起される音波パルスの幅は最大100ナン秒程度に納める必要があった。しかも試料の直径が極めて小さいため、伝播される音波エネルギ-を観測可能な程度に大きくするためには、入射パルスは高速でかつ大振幅でなければならない。このような要請を満たす電子装置は、現時点では市販されていない。したがって、現在までの経験をふまえて、電子回路と振動子・試料の機械的結合系の両面から技術の極限を追求し、ほぼ実用の域に達する装置・技術の開発に成功した。測定系全体の微妙な制御に、本年度購入した「高度な制御ソフト付きの小型計算機」が不可欠であった。特に重要な発見は、試料中に励起される音波パルスの性状は、振動子に入射されるパルスの形より、振動子・試料間の機械的結合状態によりおおく影響されるということであった。この際、本年度に購入した「電極融着装置」が良好な結合状態を実現するのに大きな役割を果たした。実際の測定では、試料が一個しかなく、再製が非常に困難であるため、まず、試料を破壊しない配慮が重要である。そのため、まず、ピストン・シリンダ-装置を用い、静水圧下で、4万気圧までの測定をおこなう。この圧力領域での測定が充分に進んだ後、より高い圧力領域での測定をめざす。
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