1990 Fiscal Year Annual Research Report
雲物理過程を取り入れた三次元モデルによる熱帯擾乱の階層構造のシミュレ-ション
Project/Area Number |
01540342
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
伊藤 久徳 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (80112100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
床井 浩平 和歌山大学, 経済学部, 講師 (70188746)
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Keywords | 季節内振動 / 階層構造 / 雲物理 |
Research Abstract |
雲物理過程を入れたモデルの計算にはかなりの時間を要するので,効率よく計算を行うことが肝要である。とりわけ,モデルの境界条件、パラメ-タの設定等は事前に十分絞っておく必要がある。このためまず本研究の第一段階として、積雲対流の効果をパラメタライズした一般的モデルを用いて、どの様な条件、パラメ-タで季節内振動の階層構造がうまく表現できるかを探求した。その成果として、季節内振動の一見複雑に見える構造を統一的に解釈することが出来た。また中緯度との関係に関しても、これまで様々な解析結果が提出されていたが、これを相互作用という観点から統一的に見ることが出来るようになった。これらの詳細な内容に関しては、Itoh and Nishi(1990),Itoh(1991)を参照されたい。 次に、雲物理過程を入れたモデルの作成であるが、真に雲物理過程を入れるのはなお現在の計算機資源から考えて無理と判断したので、雲水や雨水を陽に表現し、ダウンドラフトや雨水の蒸発の効果等、雲物理過程の本質的側面を取り入れている山岬のパラメタリゼ-ションで代用することにした。この方法は階層構造のひとつの典型例である台風において十分な結果を得ているものであり、雲物理過程を入れるのとほぼ変わりのない結果が得られると考えられる。この方法を取り入れて、赤道β面上の東西はサイクリック、南北は赤道付近を細かい格子で、中緯度を粗い格子で覆う二重格子差分を用いたモデルを作成した。現在のところ予備的な時間積分を行ったのみであるが、階層構造はほぼシミュレ-トできることを確認している。今後、本格的なシミュレ-シヨンを行い、階層構造の詳細な解析に進んで行く予定である。またこのモデルを球面に展開できれば、次世代の数値モデルとして有望なものであると考えている。
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[Publications] Hisanori Itoh: "Considerations for the structure of the tropical intraseasonal oscillation" J.Meteorological Society of Japan. 68. 659-675 (1990)
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[Publications] Hisanori Itoh: "The role of the nonlinearity and tropicsーextratropics interaction in the structure of the tropical intraseasonal oscillation" J.Meteorological Society of Japan. 69. (1991)