1989 Fiscal Year Annual Research Report
フエナレン-1.3-ジオン結晶中のプロトン移動機構の解明
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01540361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 正 東京大学, 教養学部, 助教授 (50124219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉岡 明 東京大学, 教養学部, 助手 (90193367)
佐藤 直樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (10170771)
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Keywords | プロトン移動 / フェナレン-1.3-ジオン / 分子間水素結合 / X線結晶構造解析 / 固体高分解能NMR / 互変異性 |
Research Abstract |
水素結合系有機結晶におけるコヒ-レントなプロトン移動現象には、ソリトン伝播機構の関与が指摘されているほか、局所電場の方向制御に基づく強誘電性の発現等、新物性探索の上で多様な可能性が秘められていると言えよう。プロトンが容易にコヒ-レントな分子間変位を起こす状況をつくり出す上で、分子間プロトン移動に伴う互変異性が可能で、かつ電子構造に特徴を持つ、3-ヒドロキシフェナレノン(1)を取り上げ、その結晶構造と結晶中プロトン移動の可能性について検討を加えた。 1のDMSO溶液より得られた単結晶のX線解析によれば、分子間O-O距離は2.54Aと極めて短く、syn-syn型の強い水素結合の一次元鎖を形成していることがわかった。また分子内のC-C、及びC-Oの結合距離は、共に一重結合と二重結合の平均値であり、かつ実験精度の範囲で等価である。このように分子が局在的にC_<2U>の対称性を示すことは、結晶内で1の構造が空間的、ないし時間的なディスオ-ダ-により平均化されていることを示している。この点について知見を得る為に、CP/MAS法による固体高分解能NMR測定を行った。1のカルボニル及びエノ-ル炭素は夫々区別して観測され(187、171ppm)、-50〜100℃の温度範囲の間で線形に変化は認められなかった。従って、プロトン移動とカップルした結合の改変は、起こっていても室温では10^3s^<-1>以下であると結論される。対称な分子構造が得られる原因としては、水素結合系における水素の変位に関する非周期的ドメインが形成されることにより、空間的に平均化されたとするモデルの方が、より妥当と推論される。尚、この系の誘電分散の温度依存性には極めて興味が持たれる。
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Research Products
(1 results)