1989 Fiscal Year Annual Research Report
付着溶媒分子数を規定した二分子反応--求核置換反応における溶媒効果
Project/Area Number |
01540364
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 健二 東京大学, 教養学部, 助手 (30150288)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 興亜 京都大学, 理学部, 教授 (30029483)
|
Keywords | 溶媒効果 / 求核置換反応 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は次の二点にまとめることができる。 1.科学研究費を用いて、求核置換反応における溶媒効果を測定するための実験装置を完成させ、予備的測定を行なう。 2.様々な系を用いて付着溶媒分子数を規定した反応の速度-溶媒分子数の効果を測定する。 まず第一の目標であるが、現有の真空槽を用いて(1)反応イオン(クラスタ-)の生成部(2)クラスタ-イオン選別部(3)加速・減速レンズ系を新たに加え、付着溶媒分子数を選別したイオン-分子反応装置を製作した。超音速ジェットのノズル直後で電子衝撃によるイオン化-クラスタ-化を行ない、ウイ-ンフィルタ-型の質量選別器で特定の大きさのクラスタ-イオンのみを選別して反応させる。現在はウイ-ンフィルタ-の動作の調整を行なっている。 また第二の目標については(1)化学発光を伴うクラスタ-と原子の反応H+(NO)_2を交差分子線条件で行ない、その反応機構・H+NO+Mとの比較などを行なった。また(2)分子内電荷移動反応の例として9.9^1ービアントラセンの極性溶媒-アセトン・アセトニトリルなど-とのクラスタ-の電子励起状態の挙動について測定を行なった。この系では二光子イオン化-質量分析法を併用することで付着したアセトンなどの分子数を規定し、吸収・発光スペクトルのシフト,発光寿命の変化が測定できた。 今後は、まず当初の計画どおり、装置の調整を終了させ、溶媒分子数を規定した求核置換反応の測定を行なう予定である。また、9.9^1-ビアントラセンなどの系では、溶媒分子の付着位置など詳細な情報を得る方向も考えている。これによりミクロな分子間の相互作用と溶媒効果の関連が明らかになっていくと思われる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Kenji Honma,Kenichiro Tanaka,Shinzo Suzuki,and Inosuke Koyano: "A TPEPICO study of dissociative photoionization of C_2H_2D_2 lsomers" International Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes. 93巻. 1-14 (1989)
-
[Publications] Kenji Honma and Okitsugu Kajimoto: "Crossed-beam study of the reaction of van der Woals molecule H+(NO)_2." Journal of Chemical Physics. 92巻. 1657-1660 (1990)
-
[Publications] Kenji Honma and Okitsugu Kajimoto: "Microscopic sdvation to 9.9^1-bianthryl studied in a free jet:Polarexcited state formation in the cluster with acetone." Journal of Chemical Physics.