1989 Fiscal Year Annual Research Report
拡散反射レ-ザ-ホトリシスによる金属錯体の多結晶固体における励起状態
Project/Area Number |
01540376
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 憲昭 大阪大学, 教養部, 講師 (70176098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 健 大阪大学, 教養部, 教授 (10029697)
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Keywords | 時間分解吸収スペクトル / 拡散反射 / 金属錯体 / 多結晶 / 光化学 |
Research Abstract |
金属錯体の多結晶固体における励起状態の新しい研究手段として、ナノ秒の時間分解能を持つ拡散反射反射レ-ザ-ホトリシスシステムの製作を行った。現有のYAGレ-ザ-を励起光源(波長532nm,355nm)とし、モニタ-光源としてXe増強ランプを製作し、検出部はポリクロメ-タ-をとうして低速掃引タイプのストリ-クカメラとした。このシステムにより溶液試料はもとより不透明微結晶試料の時間分解吸収スペクトル、発光スペクトルがナノ秒からサブミリ秒にわたって波長を掃引することなく瞬時に測定することが可能となった。錯体試料は可視部に強い吸収を持つものが多く、固体状態の場合、溶液系とは異なり試料の分解や励起分子間相互作用をできるだけ防ぐ意味においても、吸光係数が小さい吸収帯の裾付近で励起し、励起状態密度をある程度下げることが必須であり、色素レ-ザ-(出力最大2mJ)を自作した。 金属錯体の多結晶状態の光励起状態の吸収スペクトルとそのダイナミックスの測定。溶液系で大変よく研究されているRu(bpv)^<3+>錯体塩とその誘導体をまずモデル系として取り上げ、微結晶粉末の過渡吸収スペクトルを測定している。この手法はまだ発展途上であり正しいスペクトルを得るための測定条件、粉末希釈法の有効性などを現在検討している。このシステムにより透明グラスにならない溶液の低温マトリックスでの拡散反射レ-ザ-ホトリシスを試み、溶液中と固体状態での光物理光化学過程を比較しその特徴を明らかにする。結晶を溶媒に溶かすことにより配位子の光脱離交換が起こり、固体状態でないと安定でない化合物も多く、本手法による無機金属錯体の励起状態の研究は必須であり、期待されるものと考えている。さらに固体無機錯体系において電子移動など興味ある反応系を探索する予定である。
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