1989 Fiscal Year Annual Research Report
分子線を用いた分子の単一振動回転超微細準位への選択光励起と光解離過程の研究
Project/Area Number |
01540377
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬場 正昭 京都大学, 教養部, 助教授 (80189729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 肇 神戸大学, 理学部, 教授 (60030780)
|
Keywords | レ-ザ-高分解能分光 / 二原子分子 / 分子線 / 振動回転準位 / 超微細準位 / 選択光励起 / 前期解離 / 状態間振動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、特にアルカリ金属の二原子分子に注目して、その電子励起状態の構造を徹底的に解明し、分子線とレ-ザ-二重共鳴の新しい手法を導入して、項間交差や前期解離等のダイナミクスを調べることであった。そのためには各分子における電子状態のポテンシャルエネルギ-、振動および回転定数、核スピンによる超微細結合定数を正確に知る必要がある。そこでまずNa_2についてドップラ-フリ-飽和分光法による超高分解能スペクトルを観測し、A^1Σ_u状態の核分子定数を求めるとともにNaの核スピンによる超微細分裂を見出した。理論的な考察の結果、これは近接するb^3Π_uの分裂がスピン軌道相互作用による状態間摂動でA状態にも分裂を生じていることが示された。同様の測定をNaKのB^1Π状態についても行い、やはりNaの核スピンによる分裂を見出した。この場合、Kの核スピンの効果は非常に小さいが、分子線を用いて分解能をさらに高くすることにより(0.00033cm^<-1>)、その分裂を観測することに成功した。このように分子線中では分子間相互作用も衝突もないので、単一振動、回転、超微細準位への選択光励起が可能である。さらにこのNaKのB^1Π状態について高エネルギ-領域を解明するためにレ-ザ-二重共鳴の実験を行った。これは通常の一光子励起では困難な振動量子数vの高い準位へ二つのレ-ザ-光を用いて選択的に励起を行うものである。新しい変調システムを開発することにより、本研究ではv=42という極めて高い振動準位まで励起することができ、ポテンシャル曲線をほぼ解離限界まで正確に決定することができた。また、強い前期解離を示すCs_2分子について分子線中で解離原子の発光を観測し、前期解離速度のv依存性を詳細に解明した。さらに現在、レ-ザ-二重共鳴や外部磁場効果の実験を進めており、レ-ザ-選択励起による分子の解離機構について研究を発展させたい。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 馬場正昭: "超高分解能分光による励起分子へのアプロ-チ" 日本化学会誌「化学と工業」. 43. 151-160 (1990)
-
[Publications] Hajime Kato: "Hyperfine Structure of the Na_2b^3Π_uState" The Journal of Chemical Physics. 91. 5124-5125 (1989)
-
[Publications] Masaaki Baba: "Predissociation of Cs_2in the C^1Π_uState" The Journal of Chemical Physics.
-
[Publications] Hajime Kato: "High Resolution Laser Spectroscopy of the B^1Π-X^1Σ^+ Transition of Nak,and the Perturbation between the B^1Π and C^3Σ^+States" The Journal of chemical Physics.
-
[Publications] Shunji Kasahara: "Optical-optical Double Resonance Study of the B^1Π State of Nak" The Journal of Chemical Physics.