1989 Fiscal Year Annual Research Report
γ線角相関による層間場の評価と、それに基づく層間化合物の合成と物性の研究
Project/Area Number |
01540380
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐野 瑞香 熊本大学, 理学部, 教授 (20017312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 英興 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30011000)
市村 憲司 熊本大学, 理学部, 講師 (00151481)
松崎 晋 熊本大学, 理学部, 助教授 (00109638)
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Keywords | 摂動角相関 / 黒鉛層間化合物 / モンモリロナイト / カオリン / 層間場 / 電場勾配テンソル / インタ-カレ-ト / 核スピン歳差運動 |
Research Abstract |
黒鉛と、HfCl_4を800ppm混入したFeCl_3を封管の両端に入れ、それぞれ300℃及び350℃に加熱して得られた物質のラマンスペクトルを測定したところ、1626cm^<-1>にロ-レンツ型の1本のピ-クがあった。これから得られた物質はステ-ジ1構造をもつことがわかった。これに熱中性子照射(〜3×10^<18>cm^<-2>)を行ない放射化し、放射されるγ線をBaF_2で計測したところ482keVであり、Hfが希望通り層間に入っていることがわかった。つぎに3本の検出器を用い、第1検出器で133keVγ線を計測して時刻原点を定め、第2、第3検出器を第1検出器の方向からそれぞれ90゚、180゚の方向にセットして482keVγ線を同時計測して摂動因子を求めた。そのフ-リェ変換から核スピンの歳差運動周波数を決定したところ、その運動が黒鉛層に平行の場合W_1=33、W_2=53、W_3=69MHzであり、運動が黒鉛層を横切る方向の場合と有意義な差はなく、中間状態の核スピンは等方的な摂動を受けていることがわかった。また、HfCl_4のみをインタ-カレ-トした黒鉛ではW_1=130MHzで、FeCl_3により層間場が著しく変ることが明らかになった。 モンモリロナイトであるク-ピア及びカオリンそれぞれ1gを濃度が1.3×10^<-2>moll^<-1>のHfCl_4水溶液20mlに2週間浸し、濾過、水洗、乾燥して試料とした。電子線照射に伴う特性X線の強度から試料30mg当りHf2.5×10^<18>原子含まれていることがわかった。熱中性子照射で^<181>Hfを作り、摂動角相関を観測したところ、クニピアは1622、カオリンは1732MHzに最大値をもつ1本の幅広いスペクトルが得られた。これから電場勾配テンソルの主成分V_<zz>はそれぞれ2.2×10^<18>、2.4×10^<18>Vcm^<-2>と決った。スペクトル幅が極めて広いのが特徴であることがわかり、V_<zz>値を中心にかなり多くのサイトがモンモリロナイト層間には分布していることが本研究で初めて実証できた。今後インタ-カラントを変える。
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