1989 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデルワ-ルス分子の異性体を用いた化学反応の配向依存性に関する研究
Project/Area Number |
01540390
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
花崎 一郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (00028250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 正夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (50192448)
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Keywords | 分子線 / 回転分布 / LIF法 / ラムダ2重項 / 配向依存性 / HI / N_2O / ファンデルワ-ルス分子 |
Research Abstract |
本年度は、超音速分子線中で生成したHI・N_2O分子について、 HI・N_2O+hr→OH+N_2+I の反応によって生成するOHラジカルの回転準位分布をLIF(レ-ザ-蛍光)法によって決定した。この錯体はHがN_2O分子のN端につくもの(N異性体)とO端につくもの(O異性体))の2種の異性体が存在すると考えられる。パルス分子線ノズルの背圧をかえることにより錯体の温度をかえると、異性体の存在比をかえることができ、これによって得られるOHの回転分布が大きく変化することがわかった。 この結果の解析から、O異性体のほうがN異性体にくらべて安定であり、低温、すなわち高い背圧ではO異性体を経由する反応が支配的であることがわかった。またOHのラムダ2重項の生成比の解析から、N異性体では理論的にも予想されているように、平面4角形の中間体を経て反応が進行しており、このため、ラムダ2重項のA成分が優勢になることがわかった。また、N異性体では比較的高い回転分布のOHが生成するのに対し、O異性体では回転分布は低い準位に集中している。これは中間体を経ないO異性体の反応がせまい微分断面積を持っているためであると解釈される。 このような結果をセルを用いた通常の実験、すなわちHIを光分解して飛び出したH原子がN_2Oをアタックする場合の反応の配向依存性と結びつけて議論した。
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[Publications] H.OHOYAMA,M.TAKAYANAGI,T.NISHIYA,I.HANAZAKI: "Chemical Reaction of Weakly Bound Complexes:HI・N_2O+hv→OH+N_2+I" Chemical Physics Letters. 162. 1-6 (1989)