1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜田 嘉昭 東京大学, 薬学部, 助手 (90107392)
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Keywords | 熱分解 / 短寿命分子 / N-Cl結合 / イミン / FTIRスペクトル / マイクロ波スペクトル / 振動スペクトル / 回転スペクトル |
Research Abstract |
アミン分子の熱分解で生じる、比較的小分子の短寿命イミン・エナミン・ニトリル類をフ-リェ変換赤外分光法、マイクロ波分光法でそのスペクトルを観測し、非経験的分子軌道法計算とも組合せ、新分子の同定・構造及び分子内力場の決定・反応機構の考察を行う。かくて有機合成化学の活性な出発分子あるいは化学進化に関連する星間分子の候補を生成することが出来る。また生成した分子は化学結合としては新しい型のものがあるので、分子設計等に用いられている分子力学に重要な基本デ-タを提供するものである。 以上の研究目的の一環として、本年度は1)N-Cl結合を持つイミン類の生成と2)環状アミンの開環を行った。1)N-Cl結合を持つ分子の構造や振動バンドが研究されている例はまだ10前後に過ぎない。我々が既に見出した、ジアルキルアミンの環状遷移構造を経由するC-N切断反応を利用して。ジロパルギル及びジアリルアミンを出発として、N-Cl化したプロパルギルイミン及びアリルイミンを得た。スペクトルの解析により、構製異性体の比率や特性バンドの性質について知見を得た。2)シクロプロピルアミンの熱分解により、(1)1-アミノプロペンと(2)プロピリデンイミンが生成する。後者への反応の方が活性エネルギ-が低く低温での収率が高いこと、(1)の方が不安定異性体であり、(1)から(2)へは分子内のプロトン移動による反応であることが判明した。 比較的簡単な手法で未知の重要な分子が生成できること、温度等の条件により反応分岐を制御できること等を示し得た。熱分解法の発展の可能性を切開く事が出来た。分子が大きくなるに従い分光法のみでは同定が困難になり、今後は質量分析等との組合せが必要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Hamada: "Rotational Isomerism of Allylamine as Studied by Gas Electron Diffraction.A Joint Analysis with Rotational Constants and SCF MO Calculation" Journal of Molecular Structure.
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[Publications] F.Ito: "Observation of the High Resolution Infrared Spectrum of the D_4 Band of Ketenimine CH_2CNH" Journal of Molecular Spectroscopy.
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[Publications] Y.Kita: "Pyrolysis of Amines:Infrared Spectrum of N-chloropropargylimine" Journal of Molecular Spectroscopy.
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[Publications] Y.Hamada: "Spectroscopic Study on the Pyrolytic Products of Amines" Applied Spectroscopy Reviews.