1989 Fiscal Year Annual Research Report
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01540396
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高塚 和夫 名古屋大学, 教養部, 助教授 (70154797)
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Keywords | 分子振動 / カオス / 半古典論 / マスロフ指数 / 作用変数 / 共鳴振動 |
Research Abstract |
本理論の目的は、分子の高振動励起状態の性質とそのエネルギ-移動過程の研究である。本年度では、特に、高振動状態の量子化に伴う量子カオスなどの基礎論的な部分を、以下のように検討した。 1.分子振動を訂正する上で基礎となる半古典論の構築。分子は本来、量子力学で使ってその固有エネルギ-や波動関数を計算されるべきものであるが、質量が大きいこともあって、古典力学的性質も強く持っている。そこで、筆者は、量子力学を位相空間上に戴せた上でそれを半古典化するという手法で、新しい半古典論を作った。理論的には、次のようなことが出てくる: (1)古典力学でカオス状態の発生を意味するリアプノコ教という量があるが、これは量子力学の半古典化の過程で自然に導出される。 (2)振動エネルギ-の量子条件の中には、マスロフ数という重要の量が有る。これは、位相空間上の微小体積の自転に伴う量子力学的位相から来ているものであることが明らかになった。カオスの状態では、この自転が複素数の振動数を持つことと特徴づけられている。 (3)筆者の半古典論に基づいて、振動の量子条件を再検討した結果、通常の場合の量子条件(EBK条件)と、カオス状態の条件が同時に導かれた。 2.古典力学的作用変数の計算 分子の実際的な量子化エネルギ-の計算のためには、作用変数の計算が必要である。筆者は、あるシンプレクティック量領のフ-リエ変換を考えることで、強力な手法を開発した。これは、共鳴系にも適用できる。横軸に振動の振動数、たて軸に作用変数をプロットすると、通常の状態では、鋭い線スペクトルになる。一方、カオスの系では、巾の広った、しかし何らかの構造を持つ、スペクトルが得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Takatsuka: "Phase-space representation of guantum mechanics and its relationto phase-space path integrals" Physical Review A. 39. 5961-5973 (1989)
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[Publications] K.Takatsuka: "Quantum phase associated with the spinning motion of volume elemert in phase space and the Maslou index." Physical Review A.
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[Publications] K.Takatsuka: "Action-angle variables in terms of Fourier decomposition of a symplectic area." 投稿予定.