1989 Fiscal Year Annual Research Report
N、N-ジメチルアニリニウムカチオンラジカルの炭素酸としての化学的反応性の定量化
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01540406
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤森 憲 筑波大学, 化学系, 助教授 (90015983)
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Keywords | カチオンラジカル / 重水素同位体効果 / N、N-ジメチルアニリン / 炭素酸のpk_a / 同位体効果 / 陽極酸化 / マ-カス理論 / N、N-ジメチルアニリニウムカチオンラジカル |
Research Abstract |
N、N-ジメチルアニリニウムカチオンラジカルはN、N-ジメチルアニリンの光化学反応、化学的酸化反応、酵素酸化反応や電解酸化反応中間体として検出されたり仮定されている重要な化学種でありながら、その炭素酸としての定量的な取り扱いは無く、本研究によって初めて、N、N-ジメチルアニリニウムカチオンラジカルの炭素酸としてのpk_aとピリジン塩基によるプロトン引き抜きの活性化自由エネルギ-を重水素同位体効果から見積もることに成功した。 従来、N、N-ジメチルアニリニウムカチオンラジカルの炭素酸としてのキャラクタリゼ-ションを困難にしていたパラ位のラジカルカップリング反応をパラ位をt-ブチル基でブロックする事により押えることができ、この研究を遂行することが可能になった。種々の置換基を有するピリジン存在下、一方のN-メチル基を重水素化したp-t-ブチル-N、N-ジメチルアニリン-d_6をアセトニトリル中、陽極酸化しカチオンラジカルを発生させ、そのN-メチル基からピリジン塩基がプロトン引き抜く際の分子内一次重水素同位体効果を、生成物の質量分析によって決定した。このk_H/k_D値は3〜10となり、プロトン引き抜きに関与したピリジン塩基のpk_aに対してプロットすると、ベル型を示した。これをマ-カス理論を適用してp-t-ブチル-N、N-ジメチルアニリニウムカチオンラジカルの炭素酸としてのpk_aは7.4、プロトン移動のΔGが0の時のencounter complex内でのプロトンおよびデュ-テロン移動活性化自由エネルギ-を、初めて、それぞれ1.8および3.2kcal/molと見積もる事ができた。同様の実験を陽極酸化の代りに西洋ワサビペルオキシダ-ゼによる酸化を用いて行っても、同様の結果が得られた。 本研究は、また、一連のプロトン移動反応の、分子内一次重水素同位体効果が測定された最初の例でもある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Fujimori,K.Hagiwara,K.Sagisaka,N.Furukawa,H.Kitani,and K.Sasaki: "Anodic Oxidation of p-t-Butyl-N,N-dimethylaniline.Effect of pH on Product Distribution." 投稿準備中.
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[Publications] K.Fujimori,M.Zeniya,Y.Murakami,K.Sagisaka,H,Kanno,N.Furukawa,H.Kitani,and K.Sasaki: "Electrochemical Studies on Oxidative N-Demethylation of p-t-Butyl-N,N-Dimethylaniline.Kinetics and Primary Deuterium Isotope Effect of Proton Abstraction from Intermediary P-t-Butyl-N,N-dimetylanilinium Cation Radical." 投稿準備中.
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[Publications] K.Fujimori,K.Sagisaka,K.Fukushima,and N.Furukawa: "Intramolecular Hydrogen Isotope Effects on Horseradish Peroxidase Dependent Oxidative N-Demethylation of p-t-Butyl-N-methyl-N-trideuteriomethylaniline.Characterization of p-t-Butyl-N,N-dimethylanilinium Cation Radical as a Carbon Acid." J.Amer.Chem.Soc.