1989 Fiscal Year Annual Research Report
電極反応を鍵とする「繰り返し可能なプロセス」を用いる新しい有機合成法の開発
Project/Area Number |
01540438
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉田 潤一 大阪市立大学, 理学部, 助手 (30127170)
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Keywords | 繰り返し可能なプロセス / 電極反応 / ケイ素 / 光学活性 / ポリオ-ル |
Research Abstract |
「繰り返し可能なプロセス」とはある官能基に対して一連の反応を行い分子鎖を延長した後、延長した部分にまた同じ官能基をつくることによりこれがまた同様の反応に使用できるようなプロセスをいう。本研究では最近我々が開発した。α-アルコキシシランの電極反応を鍵反応とする新しい「繰り返し可能なプロセス」の開発を行った。α-アルコキシシランは酸、塩基、および化学的な酸化剤に対しては比較的安定であるが、ケイ素の効果により容易に電極酸化を受け対応するアセタ-ルに変換される。このことを利用して次のようなプロセスを開発した。まずアリル位に水酸基を有するビニルシラン出発原料とし、これをSharpless酸化して光学活性なエポキシドを得る。水酸基をベンジル化した後メタノ-ルでエポキシドを開環すると、β-ヒドロキシ-α-アルコキシシランが得られる。メタノ-ル中で電極酸化しアセタ-ルとし、水酸基を保護した後酸加水分解を行うとグリセルアルデヒド誘導体が得られる。続いて低原子価クロムを用いてジブロモ(トリメチルシリル)メタンと反応させ、アリル位に水酸基を脱保護することにより、出発物質に対して炭素1つ延長し、しかも末端部分が同じアリル位に水酸基をもつビニルシランである化合物が得られる。従ってこのプロセスを繰り返し行うことにより任意の長さの光学活性ポリオ-ルを得ることができる。このプロセスで用いられる反応はすべて操作が簡便で収率も比較的良好である。新たに生成する水酸基部分の光学純度も非常に高い。得られたグリセルアルデヒド誘導体を既知の誘導体に変換して施光度を測定したところほぼ光学的に純粋であり、また1サイクル後に得られたビニルシランの光学純度を光学活性カラムを用いたHPLCで測定したところ95%ee以上という結果が得られた。以上、電極反応を鍵として光学活性ポリオ-ル合成に対して効率的な「繰り返し可能なプロセス」が開発できた。
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Research Products
(1 results)