1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540441
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
大胡 恵明 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (10016115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 祥生 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (40202725)
武内 征司 新潟薬科大学, 薬学部, 助教授 (00131011)
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Keywords | 固相反応 / ラセミ化 / 光反応 / コバルト錯体 / ロジウム錯体 / 光学活性 / アルキル遷移金属錯体 |
Research Abstract |
筆者らは、さきに、各種のβ-置換エチルコバロキシム錯体が固体状態で可視光により一方向的にα置換エチル錯体に異性化する、固相特異的なβ→α異性化反応をみいだしている。本研究では、さらに新規な固相特異的(光)反応をみいだすことを目的として、種々の光学活性CoおよびRh錯体の合成とその光反応を検討した。 1.各種の軸配位子を配位した光学活性1-シアノエチルコバロキシム(1-CNE)錯体、1-メトキシカルボニルエチルコバロキシム(1-MCE)錯体、1、2-ジメトキシカルボニルエチルコバロキシム(1、2-DMCE)錯体を合成し、それらの固相光ラセミ化反応を調べたところ、いづれの錯体も固相光ラセミ化反応が起こることが解った。さらに、1-CNEの系統では、その反応速度は軸配位子の種類によらず、アルキル基の周りの自由空間のVOLUMEに存在すること、1-MCEおよび1、2DMCE錯体の系統では、軸配位子の違いによる反応速度の差は極めて大きく10000倍にも及ぶこと、ならびに、このような相違は(液相反応では見られない)固相特異的現象であることを明らかにした。また二三の光学活性Rh錯体の合成に成功し、反応性について若干の興味ある知見をえた。 2.光ラセミ化反応速度の温度依存性から、その活性化パラメ-タ-を求めるための予備的実験として、まずdarkで熱ラセミ化反応を検討した(科研費で購入した恒温槽を使用)。反応速度は溶液中の同反応に比して、かなり高温が必要であり、活性化パラメ-タを求めると液相反応に比して、その活性化エントロピ-がかなり負に大きいことが解った(例えば、1-CNE(ピリジン)コバロキシムの場合ΔS^≠=-36cal/mol・k)。一次反応であるにもかかわらず活性化エントロピ-が負にかなり大きいことは注目に値する事実である。今後光反応に於ける速度の温度依存性を検討していく予定である。
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[Publications] Y.Ohashi: "Racemization of the Chiral Group by X-rays in the Crystalline-state and by Visible Light in the Solid State" The 1989 International Chemical Congress of Pacific Basin Socierties(Honolulu,U.S.A.),Abstracts. 2. Orgn08-23 (1989)
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[Publications] 大胡恵明: "アルキルロドキシム錯体の合成と性質" 第18回有機合成化学協会関東支部シンポジウム講演要旨集. 13 (1989)
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[Publications] 大胡恵明: "アルキルコバロキシム錯体の固相光反応" 日本化学会第59春季年会講演. 1D339 (1990)
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[Publications] Y.Ohgo: "Solid-State Photoracemization of Optically Active Alkyl Cobaloxime Complexes.Abnormal Effect of Axial Ligand" J.Chem.Soc.Chem.Commun.