1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540473
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野村 俊明 信州大学, 理学部, 助教授 (00020660)
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Keywords | ギャップ電極水晶発振子 / 水晶発振子 / 振動数変化 / 溶液の密度、粘度、比導電率 / 溶液の比誘電率 |
Research Abstract |
1.水晶発振子の一方の電極を取り除き、その面と電極に用いた白金板との間に溶液が流れるようにしたフロ-セルを作製した。この検出器は水晶板と白金板との間隔が5.3mm以下で発振した。 2.流す溶液の温度が高くなると基本振動数が上昇するので、液温は一定に保つ必要がある。溶液の比導伝率に対して、50μScm_<-1>までは、比導電率の増加とともに振動数の変化量はほぼ直線的に増加する。また、この変化量は従来の水晶発振子の約8倍の応答であった。比導電率が約0.7mScm_<-1>以上では、振動数の変化量ほぼ一定になった。密度および粘度に対しては、従来の水晶発振子と同様に、振動数の変化量(ΔF)は溶液の密度(ρ)と粘度(η)とに依存して次式のように変化した。 ΔF=a(√<ρη>-1) a:定数 非電解質溶液の密度および粘度の振動数に及ぼす影響を上式により消去し、ギャップ電極水晶発振子の振動数変化に及ぼす比誘電率の影響を調べたところ、基本振動数は比誘電率に依存して変化することがわかった。また、従来の水晶発振子と同様に、水晶板上への物質の付着によっても振動数が変化する。 3.以上の結果より、ギャップ電極水晶発振子の基本振動数は、浸された溶液の温度、密度、粘度、比誘電率に依存して変化し、水晶板上に付着した物質の重量にも依存して変化する。したがって、水晶重みセンサとして使用でき、さらに、水晶板と電極の白金板とで器壁の役割を兼ねさせることができるので、装置の小型化、すなわち、微量試料への適用が可能である。また、液性等に対する小型検出器としても利用できる。
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