1989 Fiscal Year Annual Research Report
構造特異反応による生理活性有機化合物の識別と捕捉法に関する研究
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01540474
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 智孝 京都大学, 教養部, 助教授 (40108981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 英一郎 京都大学, 理学部, 助手 (50108982)
杉山 雅人 京都大学, 教養部, 助教授 (10179179)
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Keywords | 水酸化鉄 / 共同沈殿 / 有機リン化合物 / リンの循環 / 環境水圏 / 吸着 / 予備濃縮 |
Research Abstract |
当初の研究計画にそって、分子構造のよく分かっている19種のリン化合物を、生理活性有機化合物の代表として選び、これらの化合物の各々について水酸化鉄沈殿への吸着性を調べた。対象とした化合物は、トリメチルリン酸、ジメチルリン酸、モノメチルリン酸、α-及びβ-グリセロリン酸、フルクト-ス-1-、フルクト-ス-6-及びフルクト-ス-1、6-リン酸、グルコ-ス-1-及びグルコ-ス-6-リン酸、ホスホセリン、ホスホスレオニン、1-及び2-アミノエチルホスホン酸、ホスホリルエタノ-ルアミン、AMP、ADP、ATP、フィチン酸であって、最初の2例を除いて他の17例はいずれも水酸化鉄に吸着捕捉される。そして、吸着率〜pH曲線は、これらリン化合物の構造上の特徴に応じて、4つの形態に大別されることが分かった。すなわち、吸着曲線のpH依存性から吸着されたリン化合物の構造上の特徴が推定できること(識別)になるし、逆に、化合物の構造が既知であるとその化合物の吸着曲線を予見すること(捕捉条件)が可能となる。以上の成果に加えて、捕捉した化合物を吸着担体である水酸化鉄から単離する方法を発見した。この方法によると、リン化合物は、元の濃度に比して300倍近く濃縮されているうえに、極めて純粋に近い状態で回収されることになるので、イオンクロマトグラフ法や^<31>P-NMR法による精緻な同定法の適用が可能となる。環境水圏中のリンの循環に関する研究にも充分貢献しうる手法が開かれたことになる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Sugiyama: "Seasonal Variation of Vanadium Concentration in Lake Biwa,Japan" Geochem.J.23. 111-116 (1989)
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[Publications] T.Hori: "Preservation and Recovery of Phosphorus Compounds Preconcentrated into the Hydrated Ferric Oxide Matrices" Anal.Chem.