1989 Fiscal Year Annual Research Report
膜捕集を利用する極微量リン酸、ヒ酸の分析法-捕集機構の解明とFIAへの応用
Project/Area Number |
01540492
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
松原 チヨ 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10057309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 浩一 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (80200856)
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Keywords | 膜捕集 / 極微量リン酸 / 極微量ヒ酸 / リンモリブデン酸-マラカイトグリ-ン会合体 / 濃縮 / 吸光光度法 / メンブランフィルタ- |
Research Abstract |
廃棄された化学製品や半導体製造過程に由来するリン酸やヒ酸による環境汚染が懸念される。この様な汚染を防止するためには不断のチェックが必要であり、簡易迅速かつ高感度な方法が望まれる。 本研究では、極微量ヒ酸、およびリン酸の簡易迅速な定量法を開発することを目的とした。著者は、モリブドリン酸(ヒ酸)-マラカイトグリ-ン(MG)会合体(P-Mo-MG)をメンブランフィルタ-膜(MF)上に選択的に濃縮した後、少量の有機溶媒に溶解し吸光度を測定する方法を考案した。本法では、膜捕集によって数十秒以内に1000倍以上の濃縮が可能であり、モル吸光係数(28000cm^<-1>M^<-1>)が大きいので迅速に高感度な定量が可能であった。今回、膜による捕集機構を明らかにし、それに基ずいて更に選択性の高い機能性膜を得ること、更にこの膜を用いたフロ-インジェクション分析の構築を意図した。 1.MFによるP-Mo-MG会合体捕集機構の解明:(1)MFの結合部位の推定・捕集は膜の孔径に依存せず、材質に依る。ニトロセルロ-ス製MF表面のレ-ザラマン散乱を測定したところ、硝酸エステル結合(1300cm^<-1>)に大きな変化がみられ、ニトロ基が会合体捕集に関与していることが示唆された。(2)会合体の結合部位・MGはLangmuir型の吸着等温線を示し、吸着平衡定数K=1x10^5dm^3mol^<-1>が得られた。NMR測定によってMGが吸着に関与していることが分かった。 2.1の知見に基づき、更に高い捕集能を持つMFを探査し、スルホン酸基を有するポリスルホン膜を得た。 3.FIA(フロ-インジェクション分析)系の構築:測定の迅速性を高めるためポリスルホン膜を装備した二流路系を組んだ。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松原チヨ: "膜捕集を用いた薬品中の微量ヒ酸の迅速定量" 日本化学会誌. 1990(3). 267-270 (1990)
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[Publications] 松原チヨ: "モリブドリン酸・マラカイトグリ-ン会合体の膜捕集を利用する血清リン脂質の吸光光度定量" 分析化学. 38(11). 627-631 (1989)
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[Publications] C.Matsubara: "Determination of arsenate and phosphate in rainwater-Preconcentration by membrane filtration-" Applied Organometallic Chemistry. (1990)
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[Publications] C.Matsubara: "Preconcentration of P-Mo-MG aggregate using membrane" Analytical Sience.